特集:真に受けてはいけない大規模震災時に出回る単純デマ大地震のような災害が起きると、決まって事実無根のデマや流言が飛び交います。東日本大震災の時も人を惑わすような触れ込みがTwitterに流れて大勢の人が広めてしまう事態を招きました。今回の熊本地震でも、井戸に毒を流したといった、あからさまにでたらめとわかるデマがいくつか流れています。幸い、大きな話題になるほどまでには発展しませんでしたが、内容を疑いもせずにリツイートしてしまうのは誰しも気をつけていかなければなりません。 最近の大規模災害で流れることが多い典型的なデマと、その見抜き方を紹介します。 <典型的なデマの例>● 何者かが下水道に毒を流した 関東大震災の時に流れた流言を、そのまま現代に流用している典型例です。単純に考えて、一般の人が大勢の人に危害もたらすだけの毒物を調達するのは難しく、悪用するなどたやすくできません。まして、地震発生後の混乱時に悪事を働かせるほど被災者は考える余裕などありません。こんな不謹慎な発想を思いつくのは、被災地とは無縁の安全なところで暮らしている人です。 過去に起きた流言をそっくり持ち出していれば、典型的なデマです。首謀者の発想もかなり幼稚です。 ● 有害物質がまき散っている有害物質が大気中にまき散っているなど、見た目だけで判断している情報もデマです。人体に影響を及ぼすほどの有害物質が散乱していれば、それを遠くから見ただけでも健康に即影響します。目撃者はとても投稿などしていられません。中には杉花粉と勘違いしていて、思い込みが人を惑わすデマとして一人歩きする場合もあります。 有害物質が飛び散っていると煽るデマは、テレビの映像だけで勝手に判断してあたかも真実として作り上げられているときもあります。「テレビで見て〜」と書いてあれば、情報に信憑性がないと判断したほうがよいです。人体に影響を及ぼすような危険な状況が発生したときはすぐさまニュース速報が流れます。 ● 猛獣が逃げ出した 扇動や不安をかき立てる典型例が、動物園から猛獣が逃げ出したというデマです。どちらかといえば、子ども向けテレビ番組のワンシーンで見かける光景をそっくり持ち出した内容です。 大地震や火災などが起きたときは、動物園でもきちんとした対応策を取り決めてあり、飼育員も日頃から訓練をしているはずです。動物の習性をふまえた対応と避難措置を迅速に執るため、動物が逃げ出すような最悪の事態を招く可能性はかなり低いです。万一、猛獣が逃げ出したときは、職員が真っ先に周知します。うわさで回ってくる情報はデマと受け取るのが妥当です。 ● 人工地震 大きな地震が発生するとたびたび見かけるのが、「外国の機関による人工地震」という触れ込みです。さらに「証拠はつかんでいる」とまで付け加えてあり、あまりの妄想的な書き口に異様な印象をもちます。 映画で人類が地球の異変と立ち向かうために特殊な爆薬を使って人工的に地震を発生させるシーンをよく見かけます。おそらくこうしたシーンに影響されているのでしょうが、現実は広範囲に大きな揺れをもたらすほどの人工地震はいくら爆薬をつぎ込んでも起こせません。まして秘密裏に準備を進めることなどできるはずがありません。大規模な自然現象を人工的に模倣できると考えるのは現実離れした空想です。 国家が極秘にと書いてあるといかにもあり得そうな内容に読めてしまいます。しかし、大規模な自然現象を人工的に発生させるのは不可能です。この点をふまえていれば、人工地震はデマであると容易に受け取れます。 <デマを氾濫させないために>● 事実根拠が書いてない情報は信用しない デマは事実根拠が盛り込まれていません。過去のデマの焼き直しを当てはめたものや、当事者が自分の目で確かめずに想像だけで作り上げたものばかりです。内容も抽象的で、根拠となる情報の発信元が含まれていません。不安な気持ちにさせるだけの内容であれば信用性は皆無です。 あたかも真実のような情報が舞い込んできたときは鵜呑みにせず、ニュースなどで事実であるかを自分自身で確かめるようにしてください。 ● 衝動的な行動は控えよう デマを広げないようにするには、何でも人に知らせようとする気持ちを抑えることも必要です。非常時になると頭が混乱して物事を冷静に判断する力が低下します。こうした状況では、デマも安易に事実と受けとめてしまい、重大な情報とばかりに衝動的に他の人に知らせがちです。突然の出来事でパニックに陥りがちな人は、感情に流された行動をしないよう心がけておきたいところです。 大規模な自然災害の時は、情報も交錯しデマが多く流れます。信憑性のない情報が届いたときは他の人には伝えずに自分のところで留めるよう、日頃から意識しておくのも大切です。
2016年4月30日発行 第379号
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