教えて先輩:海外から輸入したスマホやWiFi機器は日本で使ってもいいの?とはいうものの、最近は海外からの観光客が増加し、技適を受けていない情報機器を国内で使っています。技適を受けていない海外製品を個人輸入した場合は使用を認められず、外国人観光客が持ち込んだ機器は黙認であるならば不公平です。 技適を受けていない海外製のスマホやWiFi機器を入手したとき、無条件で使うことは認められるのでしょうか。 注:本内容は電波法ならびに関連法に違反する行為を肯定するものではありません。一部、誤解を招きかねない表現をしていますが、あくまで法令遵守を前提に話を進めています。 ● スマホやWiFi機器は無線機の一種 SIMカードやWiFi機能を搭載したスマートフォンやタブレット端末、携帯電話、ゲーム機器はひとまとめに携帯情報端末と呼ばれていますが、実はれっきとした無線機です。メールの送信や写真を投稿するとき電波を使って基地局やWiFiルーターにデータを伝送しています。これは、電波を使って無線通信をしているのと同じです。 無線機というと、自衛隊が部隊に命令を伝達するときに使うトランシーバーを想像します。トランシーバーと形こそ違えど、スマートフォンなどの情報端末も無線機の一種なのです。 ● 特別な手続きなしに携帯情報端末が使えるのは技適のおかげ 電波を送信する無線機器を使うには免許が必要です。しかし、私たちはスマートフォンを使うのに免許をとっている人は誰一人いません。民生用の通信機器では、技術基準適合証明を受けた機器であれば特別な資格や免許なしに使うことができます。この証明を略して技適と呼び、技適証明を受けている機器には技適マークがついています。機器についていない場合は、OSの設定から該当箇所を選ぶと技適マークを表示できます。 技適証明を受けている機器は検索して調べることができます。 国内で販売されている携帯情報端末はすべて技適を取得しています。そのため、子どもから大人まで誰もが手軽に携帯情報端末を利用できるのです。 ● 技適証明を受けていない機器を使うと処罰の対象になる 技適を含め、無線通信に関する決まり事は電波法という法律で定められています。技適証明を受けていない無線機器を国内で使うと電波法違反となり、摘発されれば罰金や懲役といった処罰を受ける場合があります。したがって、技適を受けていないSIMフリーのスマートフォンやWiFi機器を日本で使うことは法律上できないのです。 海外から取り寄せたSIMフリー端末の紹介記事を掲載しているサイトには、国内での使用を助長させないよう注意書きをしているところが数多くあります、これは、読者が電波法を犯さないよう配慮しているためです。 ● 技適のない機器を使っても取り締まりようがない 技適制度は国内のさまざまな無線通信業務に混信や干渉を与えないようにする目的で作られました。もともと、国内で製造・販売されている無線機器を対象としていたため、海外製品が大量に持ち込まれる事態は想定していませんでした。 ところが、携帯情報端末の普及と外国人観光客の増加で、技適を受けていない海外製品が国内に持ち込まれるようになりました。技適について知っている外国人は皆無に等しく、入国時に持ち込んだスマートフォンなどを日本国内で使用しています。 もし、日本人が技適証明のない機器を使用して摘発されたとしたら、海外からの観光客も一斉摘発しなければなりません。それは現実的に不可能と言ってよいでしょう。現状では技適を受けていない機器を使用しても、他の通信に影響を与えるような事態を引き起こさない限り摘発されることはあり得えません。しいていえば、無線通信業務を管轄する総務省から注意喚起が届く程度と考えられます。 ● 見直しの動きはあるものの・・・ 外国からの訪問者が海外製の情報機器を国内に持ちこんで使用している現状をふまえ、総務省は電波法を改正して技適制度の緩和を検討しています。これにより、これまで国内での使用が認められなかったSIMフリー情報端末が公然と使えるようになるとの期待が高まりました。 ところが、技適を受けていないSIM情報端末を日本国内で使えるのは外国人訪問客のみという、あまりにも不可解な方向で話が進んでいるようです。 ● 技適証明のない海外製情報端末の国内使用は当面不可 現状では技適を受けていない携帯情報端末やWiFi機器を国内で使用することはできません。とはいえ、業務用の無線通信に悪影響を及ぼすようなことがない限り、使用しても厳しい処罰を受けるのはまれでしょう。おおっぴらに使用することができない以上、技適を受けていない無線機器は人に見せびらして使わないのが無難です。そして、自己責任での使用が大前提です。 ※ 技適について詳しくは総務省のページをご覧ください。
2015年3月29日発行 第368号
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