特集:ブログやSNSに掲載する写真撮影の注意点その一方で、被写体への配慮に欠けた撮影がきっかけでトラブルとなるケースも増えています。 私自身、撮影した写真をブログへ公開するときは問題がないか細心の注意を払います。今回は私の経験をもとに、ブログやSNSへの公開を目的とした写真を撮影するときの注意点について述べます。 <写真撮影の前に>● 撮影禁止の掲示がないか確認する 営業や運営上の理由で写真撮影を禁止しているところでは、その指示に従うのが基本です。写真撮影をする前に、周囲を見渡して撮影禁止の張り紙がないか確認しましょう。 店内やイベント会場では、必ずしも写真撮影が認められているとは限りません。個人の自由などと、自分勝手な理屈や言い分で行使してはなりません。 ● 場の雰囲気をつかみ撮影に問題はないか推察する 撮影禁止の掲示がない場所でも、写真を撮るのを自粛した方がよい場合があります。たとえば、火災や事件現場など赤裸々な様子の個人撮影は不謹慎と受け取られます。こうした光景の撮影は控えるようにした方がよいでしょう。場の雰囲気や状況を察しながら判断していくことも大切です。 <販売店内は撮影しない>商品を販売している店内で、無許可での撮影はしないようにしましょう。家電量販店で、販売員が携帯電話で店内を撮影している客に注意している光景をよく目にします。 スーパーのような食料品店でも同じです。店内で値札と一緒に商品を撮影した写真を載せているブログをよく見かけます。しかし、こうした写真掲載は好ましくはありません。店側にとっては、営業上してほしくないと思っているからです。 店の外観であれば問題ないでしょうが、店内は自由に撮影してよいとはいえません。どうしても写真を撮りたいときは許可を得てからにしましょう。 <飲食店は状況判断が重要>飲食店では撮影禁止の掲示をしているところが多くあります。掲示があっても黙認されるときもありますが、店側の意向を尊重するようにしましょう。 自主的に控えたいのは、店内風景の撮影です。何気なく撮った店内の写真には、他の来店客が食事をしている様子が含まれていることがあります。それをネットで公開するのは好ましくありません。食事や語らいをしている光景は他人のプライバシーを侵害する行為にも当たります。 料理の写真を撮る際も気をつけなければなりません。店によっては料理の写真をネットに公開してほしくない場合があるからです。たとえば、特別メニューの時は、店側にとっては見てのお楽しみにしたい意向があります。レストランでは、ウェイターが料理を運んできたときに写真撮影してよいか聞いてみるのがよいでしょう。 <街中やイベント会場での撮影は人の顔を入れない配慮を>街中の風景やイベントの状況を撮影するときは、人の顔が写らないよう後ろ姿を写すようにします。他人の顔がわかるような写真はネットに公開しないよう配慮するのが望ましいです。 報道カメラマンに顔写真をとられても、新聞やニュース用に使われると察しがつくので極度な違和感はもたれないでしょう。しかし、素人撮影の場合は目的がわからないため不審に思われます。まして、ネットに公開する目的であればトラブルにもなりかねません。 全体の雰囲気を伝えたい写真であれば、顔を写さないよう構図を工夫するのが大切です。 <博物館や展示会での撮影は原則控える>博物館やデパートでの展示会では、原則として展示物の撮影をしないのが無難です。たいてい、禁止の場合はきちんと張り紙がしてあります。 展示品は、商品出版物との兼ね合いもあり撮影を禁止している場合があります。また、フラッシュを使用すると、強い光を展示物に照射して変色するなど悪影響を及ぼすおそれもあります。 展示品を撮影したいときは、受付で事前確認しておくのがよいでしょう。フラッシュさえ使わなければ撮影を許可してくれます。 <芸能人のコンサートやイベントでの撮影は絶対厳禁>芸能人が出演するコンサートやイベントでの撮影は厳禁です。見つかると撮影機器を没収され、厳格な処分を受けることもあります。 イベントやコンサートは、その模様をネット配信したりDVDで商品化したりするため、関係者以外は撮影を認めていません。また、芸能人の肖像権は所属事務所が管理しています。たとえ外部に出さないとしても、勝手に写真を撮影することはできません。 最近は隠し撮りを取り締まるために、会場内でスタッフが見回りを厳重にしています。くれぐれもトラブルを起こすような撮影はしないようにしましょう。 <人を撮影するときは公開許可を>有名人ではなくても、たとえばイベント会場のコンパニオンや作業をしている職人の写真を撮ってブログやSNSに掲載したときは、その旨を伝えて許諾を得るようにします。断りもなく自分の姿をネットに公開されるのは望んでいるとは限りません。 人を撮影してネットに掲載したいときは、相手を尊重する配慮を最優先に考えるのが重要です。 <さらし者や風刺目的の撮影はしない>見ず知らずの人のしぐさや振る舞いを撮影してブログに掲載し、そのありさまを侮辱したり、物笑いの種やさらし者にしたりする行為は慎まなければなりません。ひとつ間違えれば名誉毀損になります。 ウケを狙う目的で、他人を風刺するような写真の撮影は不謹慎です。人をおとしめる行為にもつながるだけに、常識を疑われます。自分が逆の立場になったときのことを考えて自重するようにしてください。 <必要に応じて解像度を下げる工夫も>何気なく撮影した写真には、通りすがりの人の顔が鮮明に映ってしまうことがよくあります。そのような写真をネットで掲載するときは、画像加工ソフトを使って顔の部分に画像処理を施しておくのがよいです。 よく使う画像処理として、ぼかしやモザイクがあります。これらの処理は素人が施すとかえって印象の悪い出来映えになってしまいます。そこで、画像解像度を落とす処理が手軽で簡単です。横幅の街道度を450ピクセル程度に落とすと、顔の表情は残るものの鮮明さをなくすことができます。 自分が撮った写真をネットに公開するには、制約や配慮が多くあります。状況や被写体への配慮を第一に考える心構えさえあれば、自ずと判断がつきます。写っている人を思いやる気持ちを大切にした撮影とネットへの公開を心がけてください。
2014年10月20日発行 第363号
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