教えて先輩:違法アップロードの動画を見ただけで処罰されるの?違法にアップロードされた音楽や映画をダウンロードしたり、YouTubeといった動画共有サイトで視聴してしまうと今後どうなるのか整理します。 ● 違法アップロードした音楽や映像をダウンロードすると刑事罰に 著作権を侵害して無断でネットにアップロードした音楽や映像をダウンロードする行為はすでに以前から禁止され、違法として定められています。通称、違法ダウンロード法です。
今後は、違法アップロードされた動画ファイルをダウンロードしたり視聴した人は、刑事罰が科せられます。
この法律改正により、違法アップロードされた有償の著作物をダウンロードする行為に対し、2年以下の懲役又は200万円以下の罰金、あるいはその双方が科せられます。ただし、親告罪なので著作権所有者が訴えないと摘発されません。 ● 刑事罰の対象となる違法ダウンロードとはどんな行為? 改正著作権法で刑事罰の対象となる違法ダウンロードとは、著作権を所有しない者がネット上に無許可でアップロードした有償の音楽や映像をダウンロードして、複製・保存する行為です。静止画像は対象に含まれません。 具体的には、これまで何者かが無断でファイル交換ソフトを通じて公開・配布していたCDやDVDの楽曲や映像ファイルをダウンロードして複製する行為が、刑事罰の対象となる違法ダウンロードです。 改正著作権法では、ダウンロード行為以外にも、不正コピー防止用に施した暗号データを解除する行為も刑事罰の対象に定められました。 ● 違法ダウンロードをしても処罰はなし 今回の改正で違法ダウンロードに対して刑事罰の規定は盛り込まれたものの、処罰は行われません。言い方を変えれば、法律違反はしていてもおとがめはなしなのです。 おとがめなしとはいっても、法律違反をしている以上、違法ダウンロードの罪意識は持ちましょうというのが当面の取り扱いです。 ● YouTubeなどの動画共有サイトを視聴してもアウト? 文化庁のQ&Aによると、動画共有サイトに違法アップロードされた動画をブラウザを使って視聴した場合は刑事罰の対象になりません。(Q&Aの問7-5に見解として述べられています。) 今回の改正には落ちがあります。あくまでも不正にアップロードされたデータをダウンロードして保存する行為が刑事罰の対象であり、テレビ放送のように情報を流しているだけのものについては対象外です。保存せずに配信データを流しているだけであれば違法ダウンロードには当たりません。実際はブラウザから動画配信を視聴する際、内部で一時データ(キャッシュデータ)が生成される場合がありますが、これは複製に当たらないという見解を示しています。そのため、YouTubeに違法アップロードしてあった動画を見てしまっても刑事罰の対象にはあたらないため、おとがめはありません。 ただし、動画共有サイトから違法アップロードの動画をダウンロードして保存してから見る場合は複製行為に当たるため刑事罰の対象になります。 当然のことながら動画共有サイトに違法アップロードした人は著作権侵害で摘発を受けます。 ● 今後は処罰の適用も 今回の改正では違法ダウンロードをしても、その人は法には触れるものの処罰はされません。しかし、いずれは処罰が行われるようになるかもしれません。 違法アップロードは後を絶えません。録画したテレビ番組やCDからの音楽などを無断でファイル共有ソフトや動画共有サイトにアップロードする行為は撲滅せず、著作権侵害で摘発を受けています。
また、2011年に実施した日本レコード協会の実態調査によると、音楽の違法ダウンロードは年間44億件にものぼっています。
著作権侵害行為が横行すれば、音楽や映画、番組制作に携わっている人はそれこそ生計が立てられなくなります。そうなれば商売あがったりで、今後新たな作品が世に出なくなってしまいます。 消費者が対価を支払わずに恩恵を得ようとするのは、作品を制作した人に恩を仇で返すのと同じです。だからこそ、違法に公開されたコンテンツのダウンロードは慎んでいくようにしていかなければなりません。 改正著作権法は2013年1月1日から、刑事罰規定の対象は2012年10月1日からそれぞれ施行されます。現状が改善されず、処罰が行われる措置が取られないよう、普段から違法アップロードしたものには手を触れず、正規の商品を利用するよう心がけるのが大切です。
2012年8月23日発行 第337号
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