特集:震災支援のためのメーリングリスト活用法インターネットでも災害情報を効率的に伝達・活用するためのさまざまな取り組みが行われています。適材適所に合ったサービスや機能を使えば、震災支援に大きく寄与します。 阪神大震災でもインターネットは大いに活用され、メーリングリストも連絡用として大いに使われました。メーリングリストは今回の大震災でも同様の役割が果たせます。今後は震災の救援だけでなく、復興活動の連絡用としてもメーリングリストは力を発揮します。 今回の特集は、震災支援にメーリングリストをどのように活用すればよいかを紹介します。メーリングリストの技術的な説明は長くなるので割愛します。メーリングリストの仕組みについては以下のサイトでイラスト入りで解説していますので、ぜひご覧ください。
● メーリングリストを使うメリットtwitterやSNSなどソーシャルメディアを使って震災情報のやりとりが活発に行われていますが、メーリングリストも同様に震災活動の連絡や打ち合わせに大いに役立ちます。メーリングリストを救援やボランティア活動に使うメリットは次の通りです。 ・ メールによるやり取りなので誰でも扱いやすい twitterやmixiは知名度が高く利用している人も多いですが、誰しもとまではいきません。初めての人にこれらのサービスを使えと言っても慣れない操作に戸惑い、かえって情報伝達がうまくいきません。メーリングリストは、誰しもが普段利用するメールと同じ感覚で使えるため、特別に何かを覚える必要がありません。事務連絡など一斉伝達に大いに活かせます。 ・ 文字数を気にすることなく情報配信できる twitterは投稿できる文字数に制限があり、長文でまとめられた内容を流すには手間がかかります。メーリングリストは文字数に制限がないので、スケジュールや手順書などのテキストを容易に送れます。 ・ 内輪の連絡網が作りやすい メーリングリストはクローズドな場を簡単に作れます。登録メンバー以外にはメールの配信や送信はできません。完全に閉じられた仲間内だけの連絡網として活用できます。 ・ 綿密な打ち合わせができる パソコンのメールソフトを使って本文を作成できるので、小さい入力フォームで本文を書くより快適です。しかも、文字数制限がないので、内容をじっくりまとめてから送信できます。綿密な打ち合わせをするときは快適な文章入力環境が欠かせません。 ・ 内容の保存が容易 配信メールはメールソフト側で保存できるため、必要なときにいつでも過去の内容を閲覧できます。また、メールソフトの振り分け機能を使えばメーリングリストのメールをフォルダごとに整理して管理できます。メーリングリスト開設サービス側でもメールを保存しているので、ブラウザから過去のメールを閲覧することもできます。
● 支援活動のどんな用途に役立つかメーリングリストは、支援グループやボランティア参加者への連絡や打ち合わせに役立ちます。参加者をメーリングリストに登録すれば次のようなことができます。 ・ ボランティア参加メンバーへの一斉連絡 ボランティアへ参加登録する際に連絡用メールアドレスも記入してもらえば、出発の連絡や現地での活動状況を一斉に伝えることができます。 ・ ボランティア運営スタッフ同士の打ち合わせ 点在している運営スタッフ間の専用メーリングリストを作れば、現地情報の交換、物資の調達や配送状況、運営上の連絡や打ち合わせに活用できます。 ・ ボランティア団体同士の情報交換 ボランティア団体が連携して活動できるよう責任者専用のメーリングリストを運用するのも有効です。現地活動でのバッティング調整にも役立ちます。
● 手っ取り早く開設するには災害時は、細かい機能や使い方を知るよりも即席でメーリングリストを開設して運用するのが最適です。経費をかけるのは得策ではないので、広告は入りますが無料のメーリングリスト開設サービスを使うか、Yahoo!グループやGoogleグループなど大手検索サービスの無料グループウェアを使うのがよいです。主な開設サービス一覧は以下のページに紹介してあります。 ほとんどのサービスでは、東京電力の計画停電による影響は今のところない模様です。開設メーリングリストは携帯電話専用ではなく、パソコンで扱えるサービスの方がよいです。パソコンでのサービスはほとんどの場合、携帯電話のアドレスを登録しても使えます。メーリングリストの開設を決めたら、まずシステムを扱う管理人を決めてください。この管理人はシステム管理者と同じで、メンバーの登録作業やメーリングリストの設定を担当します。管理人はボランティアの責任者が努める必要はありません。また、管理人は複数の人で担当しても構いません。 次に、メーリングリストをどんな用途に用いるか打ち合わせをしてください。例えば、全体連絡用、チーフスタッフ用、担当部署別、待機メンバー連絡用などです。 担当となった管理人は、メーリングリスト開設サービスのサイトにアクセスし、手順に従って必要な数のメーリングリストを作成します。その際、メーリングリストは管理人だけがメンバー登録できる非公開型に設定します。メーリングリスト名はたとえば「ボランティア名-わかりやすい用途」にするとよいでしょう。 開設したら次はメンバー登録をします。管理人はボランティア一人一人のメールアドレスをメーリングリストに登録します。注意点として、携帯電話のメールアドレスも扱う場合は、登録者に迷惑メールの設定でメーリングリストのアドレスの受信許可をするか、ドメイン受信許可の設定をしてもらうよう伝えてください。 メンバーの登録が完了したら、管理人はテストも兼ねて開設した旨のメールをメーリングリストに送信して、全員に配信されているか確認します。そして、メーリングリストの簡単な使い方、たとえばメーリングリストに送るためのアドレスや返信の仕方などを簡単に説明します。 問題なくメールの配信ができていれば活動開始です。
● twitterやSNSと組み合わせるにはtwitterやSNSはメーリングリストのような内輪をつくって綿密な打ち合わせをするにはやや不向きですが、速報性に優れています。そこで、両者の利点を生かして、広報活動はtwitterやSNS、メンバー同士の連絡にはメーリングリストを使うと効果的です。ほかにも、ウェブサイトやブログを使って情報を整理して掲載していくなど、インターネット上の各種サービスをうまく使っていけば、より効率的な運営ができます。
● 今後はメーリングリストが大いに力を発揮震災直後は、リアルタイムの情報が重要で、特にtwitterはその力を発揮しました。今後は被災者への支援や復興活動が活発になってきます。その際、ボランティアの事務局や現地スタッフ、さらには待機中のメンバーなど点在した人同士の連絡や打ち合わせが大事な役割を担います。その手助けをしてくれるのがメーリングリストです。古くから用いられてきたメーリングリストは今でも災害活動に貢献できます。ぜひメーリングリストを有効に活用して被災者支援に役立ててください。
2011年3月22日発行 第319号
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