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よもやま話:インターネットの実名利用ここがメリット

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 実名での参加をうたい文句にしたアメリカ生まれのSNS「facebook」が日本でも大きな話題を呼んでいます。facebookは匿名利用が主体だったインターネットに自ら実名を用いるスタイルを浸透させ、ネットでの交流に新たな可能性を見いだしています。しかし、日本では匿名でネットを利用する習慣が深く根づいており、自ら実名を出すことに身の上の不安や戸惑いが拭えず二の足を踏んでしまいます。そのため、欧米と比べて日本国内ではインターネットの実名利用はなかなか普及していません。

 ところで、日本でもインターネットが一般家庭に普及する以前は、誰もが実名を使ってメーリングリストやニュースグループなどのサービスを利用していました。私もその一人で、過去も現在もネットでの活動には実名を使っています。そこで、経験者が語ると言っては大げさですが、インターネットで実名を名乗るメリットについて紹介します。

<実名のメリット>

○ 正々堂々胸を張って意見を述べられる

 自ら実名を名乗るのは、自分が述べることに二言はないという意思が無意識に表れます。そのせいもあり、正々堂々とした態度を相手に示すことができます。読み手も、その態度を素直に受け止めてくれます。後ろめたさがなく、堂々と胸を張って自分の意見を述べるのはすがすがしい気分です。

○ ネットでの行動に責任が持てる

 実名を出すのは責任の所在を明らかにする行為です。そして、ネットで大勢の人に自分の顔を見せる行為にも相当します。それは、人として恥知らずな行動をとらないよう振る舞う自戒の意思表示でもあります。それだけに、ネットでの書き込みや言動に責任の自覚が持てます。公私をわきまえ、良識と節度ある振る舞いを自覚するようになります。

○ 人前に出してはいけない悪意の自制ができる

 ネットでの匿名は心の闇の部分が前面に押し出て、相手を罵ったり人前では言えないような暴言を罪悪感なくできてしまいます。また、直接対面していないのをよいことに、悪意をこめて他人をからかったり心を逆なでする行為をしがちです。実名ではそうした醜い行動を自制するための羞恥心が表れます。紳士・淑女として恥ずかしくない行動を維持できるのも本名のもつ大きな力です。

○ 主張や情報の信用が高い

 実名での言動は、読み手に強い説得力を与えます。これは文責すらない匿名と比べたら段違いです。特に匿名を身の隠れにして無責任なデマや作り話はしなくなるので、読み手は主張や意見を真摯に受け止めてくれます。それだけに、内容に支持を得やすいのも実名ならではです。実名では責任ある言動している姿勢が自然と伝わり、相手に好感と信用を与えます。固有のペンネームを用いてきちんとした主張をする場合も十分支持は得られますが、実名の方が一段上です。

○ 私信での問い合わせでは相手も実名を名乗ってくれる

 全員がそうであるわけではありませんが、私信で寄せられるメールには相手も名前を添えてくれます。発信する側が名前を出しているならば、自分も礼儀として名前を名乗るべきと考えるからだと思います。お互い隠さないやりとりができるのも自ら名前を出しているからこそできるコミュニケーションです。互いに実名で呼び合えるのはとても気持ちのよいものです。

○ 企業からのオファーや依頼を受けやすい

 実名での活動は、企業や出版社から商談や原稿執筆などの依頼を受けやすく、新たな活動のきっかけをつかむチャンスが得やすいです。素性のわからない人よりも、名前を出している人の方が信用がはるかに高いのは、自分が依頼する立場になった場合を考えれば納得がつきます。ネットでの活動に幅を広げられるのも実名ならではです。

○ 実生活に近いコミュニケーションが図れる

 facebookで特に感じますが、実名と顔を見せるのは正装で交流会に参加しているときと同じ気分になれます。それに対して匿名はいわば仮面舞踏会のような特異な雰囲気の印象を持ちます。実名は自ずと相手に対して礼儀をわきまえるので、実生活に近いコミュニケーションが図れます。

<デメリットはあるか?>

 実名を出せば匿名で誹謗中傷したがる輩の格好の標的にされるのではないか?あるいは個人情報が漏れて実生活で身の危険が及ぶトラブルに巻き込まれるのではないかと考えてしまいます。特に未成年や女性は強い不安を持つでしょう。しかし私自身、かれこれ15年以上本名でネットを利用していますが、今までトラブルは一度もありませんでした。

 実名で胸を張って意見を述べる姿勢は、弱気な心を見せず堂々とした態度を相手に示せます。それに対し、匿名では無意識に逃げ道を作ろうとする臆病な一面を見せてしまいます。これが他者につけいる隙を与えてしまうのです。実名は毅然とした態度でアピールするため、反論があるなら受けて立つという姿勢も自ずと出てきます。匿名利用者は、この強気の姿勢を見せつけられると対峙をためらいます。その場以外のところで少々の陰口をたたかれることはありますが、そのときは実生活と同じで直接本人に向かって言えない姿勢を第三者に見透かされ非難されます。

 実名を出せば何事も天下御免ではありません。言葉遣いや礼儀のわきまえはきちんと心がけるのが大切です。また、論理的な文章を書く力も重要です。公共の場にいることを自覚し、襟元を正した振る舞いが不可欠であることを知っておいてください。未成年の場合は保護者と相談した上で活動し、保護者もトラブルに対応できるように状況を把握するのが望ましいです。

<実名を出す際の注意>

 ネットで実名を使うことは大きな意義がありますが、場所を選ばなければなりません。匿名がはびこるようなところで実名を使って活動しても、匿名を身の隠れにした輩から暴言や不愉快な嫌がらせを受け精神的な苦痛を被ります。参加しようとする場で実名での活動が有効であるか自分自身できちんと見極めるよう心がけてください。

 facebookをきっかけに広がりつつある実名でのインターネット利用、デメリットや危機感ばかりを思い浮かべるだけでなく、よい点を知るのも大切です。本記事がその参考になれば幸いです。


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2011年2月13日発行 第317号


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