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特集:人の意見に反論や批判するときの心構え

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 ブログの記事や掲示板の書き込み、あるいはメーリングリストからのメールを読んでいると、自分の価値観や好みにあわない人の意見に感情的になったり、反論や異論を唱えたいときがあります。

 たとえばブログの記事でこんな一言があったとします。(あくまでも作り話です)

「果物と言えばりんごが一番!真っ赤なリンゴをほおばると幸せです」

 これを読んだりんご嫌いの人が感情むき出しにしてこんな暴言を浴びせたとします。

「お前の味覚神経大丈夫?みかんでも食って頭冷やせよ。これだから××世代は味がわからないんだよ。バカとしか言いようがない」

 感情をあからさまに出して衝動的な暴言を相手にぶつければ泥沼の言い争いになるだけでなく、他の人を巻き込んだ収拾のつかない事態、すなわち「炎上」を引き起こします。その結果、当時者だけでなくそれを目にした大勢の人の心を傷つけ、自らの品位を欠くばかりか、ネットで知り合った仲間を失う悲しい出来事にもつながります。

 他人の主張や嗜好を批判するのは賛同や支持をするよりもはるかに難しく、ささいな一言で相手の心を傷つけ、感情的にさせたり不愉快な思いをさせやすいのです。それをわきまえずに、感情任せに書き殴れば言葉の暴力を行使したにすぎません。言葉の暴力は反論でも批判でもなく、誹謗中傷なのです。

 今回の特集は、批判や否定的な意見を書くときに気をつけたい心構えについて取りあげます。

● 他人の価値観を尊重する

 ネットでは性格、生い立ち、個性、感受性、思い入れ、思想、信条など自分と習慣や価値観の異なる人が集まっています。それだけに、物事に対して自分とは正反対の考え方やとらえ方をする人と多く接します。自分にとっては肯定的な考えであっても、人によっては否定的であったり、お気に入りものが反対に受け入れられないものとして扱われているときもあります。しかし、自分と価値観が異なるからといって腹を立てて感情的になったり、人格を否定することは絶対にしてはなりません。もし、衝動的に自分の価値観だけで相手を罵倒すれば狭い視野で人を屈服させる醜い行動につながります。そのため、相手の考え方を尊重し理解する気持ちの余裕を持ち備えなければなりません。普段、同じ価値観をもつ人同士だけの交友関係しか持たない人にとっては慣れていないかもしれませんが、ネットを利用していく上で身につけておきたいエチケットです。

● 反対意見や批判には必ず根拠を述べる

 自分と同じ考えをもっている人に対しては単に「私も好き」とコメントするだけで相手はうれしい気分になりますが、反対意見や批判の場合はそうはいきません。「私は嫌いだ!」と頭ごなしにコメントしたら相手はどう思うでしょうか。唐突に因縁をつけられ、けんかを売られた印象をもちます。批判や否定的な意見を述べるときは、明確な根拠を相手に伝えなければなりません。なぜなら、理由や根拠がわからなければ相手はなぜ言いがかりのような主張をしてきたのか全くわからないからです。自分の頭ではわかっていても相手は何も情報がないのです。いきさつや経緯がわかれば相手もなぜ否定的な意見を述べてきたのか納得がつきます。そして、その主張に対するコメントや意見を的確に返答するすることもできます。批判や反論をするときほど以心伝心に必要な情報の提示が不可欠です。

● 暴言や皮肉は絶対に禁句!

 一番してはならないのが、自分にとって意にそぐわない意見や主張に対して相手を愚弄したり罵る言葉を吐き捨てる行為です。もし実生活において見ず知らずの人を目の前にして同じ事をしたらどうなるでしょうか。無礼千万はもちろんですが、口論だけではすまない泥沼の言い争いになるでしょう。特にネットでは相手と対面しないだけに感情任せの暴言を吐いてもその場でとがめられず、エスカレートすれば歯止めのかからない言動になりがちです。どんな理由があろうと人を罵倒する行為は慎むことを肝に銘じ、節度ある姿勢を忘れてはなりません。

● 言葉を選ぼう

 口は災いの元と言うように、些細な一言が相手を怒らせてしまうことは日常生活でもしばしばあります。ネットでは相手の顔が見えないだけに、何気ない一言でも過敏に受け取られる場合が多く、文字だけのやりとりではニュアンスが伝わらないときもよくあります。単調な言葉だけでなく、読み手の気分を損ねないような表現力と語彙力を身につけておくことが必要です。

 たとえば、自分にとっておいしいと思わないものに対して

「まずい!」

と唐突に言ったら相手はよい気分ではありません。そこで

「私の口にはあわない」

と書き換えれば、ぶしつけな印象は和らぎます。語彙力を増やしていけば適材適所に言葉を自在に使えるようになり、国語力の向上にもつながります。

● 他の感情を持ち込まない

 自分の感情に触れる内容を見たときに、これ見よがしに日頃の不平や不満など私情を持ち込む行為は絶対にしてはなりません。まして、相手をたたきのめして日常のストレスを吐き出すような言動をすれば、相手を傷つけるだけでなく誰からも同情されない醜態をさらします。冒頭の例のように、果物の話に対して勝手に世代の話を当てつけて罵倒するのは因縁をつけて八つ当たりしているようなものです。日頃から胸中に溜め込んでいるもやもやを見ず知らずの人に吐き出して憂さ晴らしをしたり、心を慰めることは見苦しくみっともない行為です。

● 冷静さを忘れずに

 とかく気をつけたいのが、冷静さを失い頭に血が上った勢いで衝動的に反論を書き殴る行為です。そのときは鬼の首を取って満足感を得た気分になりますが、あとになって取り返しのつかない言動に気がついたときは、もはや謝って済む問題ではなくなります。そうなれば誰もあなたを支持してくれる人はいないでしょう。くれぐれもその場の感情に支配されて我を忘れることのないよう、冷静さを保つ努力を日頃から身につけておきましょう。

 最後に、冒頭の例を冷静になって書き直してみます。

「お前の味覚神経大丈夫?みかんでも食って頭冷やせよ。これだから××世代は味がわからないんだよ。バカとしか言いようがない」

 相手を尊重して、次のようなコメントにしました。

「私はリンゴは固くて酸っぱいので口にあいません。みかんのほうがお気に入りです。こたつでみかんを食べるのが大好きです。」

 批判や反論をするときは相手を悪く言うのではなく、理由や根拠を述べて価値観を尊重したメッセージとして伝えるのが最も大切です。感情にまかせた軽はずみな振る舞いはネットで絶対にしないよう自戒をもつようにしましょう。


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