コラム:あなただけではない!ネットでの中傷へのくすぶる怒り● ネットでの中傷行為への怒りと不満はあなただけではない 今回の事件の発端となったスマイリーキクチ氏のブログで、数多くの人が現在のブログに中傷書き込みをする者への怒りを唱えるコメントが寄せられていました。そして、Ml weeklyのコラムを通じて多くの方から現在の中傷行為に対する問題を訴える声を聞くことができました。今までずっと我慢していた精神的苦痛やいらだちだけでなく、インターネットでは誹謗中傷はまかり通ることに異を唱えるのはタブーと自分に言い聞かせていたなど、蓄積された憤りを切実に訴えるものありました。 私ははっきりと言えることがあります。それは。
中傷に対する憤りは自分一人の思いこみではありません。そして中傷・暴言がまかり通るのを、インターネットの特権や文化と口実をつけて正当化できるものではないのです。日常で他人にしてはならないことの分別をわきまえている人であれば誰しも感じる不謹慎な行為はインターネットでも通用しないのです。そう考える人こそ、健全な心と節度をもち備えているのだと胸を張ってほしいのです。戒められるべきは、インターネットの匿名性を身の隠れにして自分の感情をむき出しに他人をおとしめる行為に罪悪をもたない人なのです。 もう一度繰り返します。
● 中傷被害で病気になる人の悲痛 感想のメールの中で痛切に感じたのは、落ち度のない内容に執拗に中傷を受け、病気になって苦しんでいる人たちからの声でした。インターネットはもとより、日常生活でも人と会話することすら恐怖を覚えるというのです。中傷が原因で自殺にまで至る事件が起きているだけに、表に出てこない内面上の苦しみは私たちでは計り知れません。はたして加害者は他人の痛みをどれほど理解しているのか、きっと苦しみなど微塵にも感じていないでしょう。人権侵害ではすまされない加害者への行動を制裁しなければ、いつしか人間関係そのものがネットのみならず実社会でも崩壊しかねません。 ● 他人をあざ笑う人への怒り ML weeklyで取りあげたコラムで、とりわけ感想をいただいたのがこの記事でした。 人を見下すならまだしも、他人を同じ人として扱わない心ない言動が氾濫しすぎていると支持の感想が寄せられました。タイミングを逃して書き損じたのですが、昨年末に非正規労働者が大量解雇され、年越し派遣村で年末・年始を過ごす人たちに対して、突然の不幸に見舞われたにもかかわらず石を投げつける言動がネットで数多く書き込まれ、それを見て私も怒りを覚えています。同じ日本人同士、つらい思いをしている人を平気で罵倒する行為をうしろめたさもなくよくできるものと言いたいほどです。「自業自得」、「アリとキリギリス」、「実力のない人間の末路」など、当事者を目の前にしてできる言動ではありません。ネットでは対面することなく、書き込んでも本人が特定できないのをいいことに恥知らずな言動をするのは卑怯者です。人前で言えないことはネットでもしない自覚をもっているのは、人間形成ができているごく普通の人である証拠です。恥知らずな言動に怒りを覚えるのも然りです。他人をおとしめる言動を野放しにしてはいけないと考えるのもごく当然のことなのです。 ● 中傷行為を軽々しく捉える人の多さ 新聞やニュースの報道で、ネットに中傷や悪意のある書き込みをする人は「気軽な気持ちでやった」、「みんながやっているのをまねた」とあまりにも他人を傷つける行為に罪意識がありません。根本的に他人の心の痛みを自分で理解しようとする気持ちが見られません。また、ネットを使う人の中には「ネットでの書き込みは互いに素顔を見せないから何でも吐き出せる」と笑ってインタビューに答えています。他人を傷つけても「つい軽い気持ちが出て・・・」と言わんばかりなのです。この軽率さが問題だということを認識できていない人が多いのです。ネットでも日常生活でも人と接しているのは同じです。モニタ画面の向こうには心を持った人がいて、大衆の場で話をする意識をもたなければならないことを、ネットを利用する人誰もが身につけなければ悪意ある書き込みの元凶は軽減されないでしょう。 ● 厳しい社会的制裁の必要性 最後に、いただいた感想で多かったのがインターネットでの中傷行為や犯罪行為はどんどん摘発して、裁判で刑罰を受けるべきという意見でした。これは私もML weeklyのコラムで書いていますが、表面に出てこない大勢の人がネットの中傷で苦しみ、加害者がおとがめなしの状況である限り厳罰は徹底して行うすべきと主張します。本来なら刑が確定すれば被告人の名前を公表すべきです。なぜなら、匿名で人を苦しめておきながら最後まで匿名で終わらせるのは不条理だからです。実際は何らかの取り決めで公表されないのかもしれません。また、執行猶予ではなく法律の範囲内での重い罰金刑など厳しい措置を執っていかなければ、軽い刑罰で事が済むだけではこうした犯罪は減少しないでしょう。人権にも関わる問題だけに、被害者を重視した加害者への制裁を促進させるべきです。 ネットでのやりたい放題はいつまでも野放しにはできません。本来なら遅すぎるくらいの問題です。警察も乗り出してはいるものの、犯行が多く手が回らない状況にあるのもたしかです。また、昨今の政局から法案を成立させるにも早急には難しいでしょう。しかし、人を傷つけても平気な"恥知らず"を取り締まっていかなければいつしかインターネットそのものが崩壊の道を歩むときが訪れるでしょう。警笛は鳴り響くばかりです。その響きを私たち一人一人が感じ取らなくrてはなりません。 今回の芸能人のブログでの中傷書き込みをきっかけに寄せられたエスカレートする他人への中傷に対する苦しみと怒り。それはネット全体で捉えたとしたら計り知れない大きな不満と耐えきれないストレスのごく一部に過ぎません。それを示唆した出来事といえるでしょう。
2009年2月25日発行 第293号
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