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コラム:四川大地震をあざ笑うネットの書き込みと命の尊さ

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 マグニチュード8の世界的にもまれに見る大地震が中国内陸部を襲い、6万人以上を超える尊い命が犠牲となりました。さらに犠牲者は増えることはあきらかで、世界的に不幸な大惨事といえます。特に、校舎が倒壊し数多くの幼い命が奪われたニュースは広く取りあげられ、日本の災害救助隊の尽力もむなしく隊長の悔やむ姿はその悲痛さを伝えていました。

 このような大惨事の報道とは裏腹に、ネットではこの大地震の不幸を笑う書き込みがあちこちで見かけます。「中国人への天罰」、「中国人が死んで気分がいい」、こんな書き込みをためらいもなく吐き捨てられる人を私は嘆かわしく、そして人として情けないと強い憤りを感じずにはいられません。

 人の命は人種、民族に関係なく同じです。不幸にして命を落とせばそれは悲しい出来事であり、自然災害であればなおさらです。たとえ政治的、歴史的な背景があろうと自然の驚異に犠牲となれば追悼の意を忘れてはなりません。それを何も考えず平然とあざ笑う書き込みを誰もが目にするインターネット上で行えば、書いた本人の言動を強く問われます。それは人としての恥であり、心ないそして道徳的に認められない非常識な行為です。無神経だけではすまされません。まして、海外での出来事であれば日本人として恥ずかしい振る舞いです。

 掲示板などネット上での書き込みは自分の素性を明かすことなくできます。さらに、当事者を目の前にして話す必要はありません。それゆえに、自制心を忘れて平然の心の内に秘めている闇の一面を表に出しがちです。本音とは別に心の陰湿な面を出してためらいなく吐き捨てる言動をできてしまうのです。「死ね」など人前ではできない言動をネットで多く見かけるのはその一例です。しかし、匿名かつ対面して話さないからこそ、大衆の面前で口にしていけない言動は自ら意識して抑えなければならないのです。

 今回の四川大地震は、中国での出来事だけに昨今のに日中関係とも大きく関わっています。特に、中国の愛国主義に基づいた反日思想が日本人に慢性的な不満を募らせており、反感としてあふれ出ているのが見え隠れします。だからといって、政治とは無関係の自然災害で大勢の命が奪われている惨事に、心ない言動を書きなぐるのは許されるでしょうか?尊い命が犠牲になっているありさまを他人が冷笑するのは、どんな経緯があれしてはならない行動です。思いやりや命の大切さを軽視した振る舞いは自ら慎まなければなりません。その自制心をわきまえない人は、恥を知るべきです。

 自分の心ない言動は大勢の人に悲しい思いをさせることを忘れてはなりません。そして、日常生活と同じように人が命を失う出来事をあわれみ思いやる気持ちをネット上でも心得ておかなければなりません。他人の心の痛みをわきまえない恥知らずな行動はいつしか自分の身に返ってきます。他人の不幸をあざ笑うなかれ。人としての基本的なわきまえをネットでも常にもってほしいと願うばかりです。

 四川大地震でなくなられた方へのご冥福を祈ります。


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2008年 5月28日発行 第284号

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