特集:メーリングリストこの一年2007メーリングリストにおいては、今年は二つの大きな動きが見られました。「メーリス」と呼ばれ携帯電話を使った仲間内での活用が若者世代に流行したのと、FreeMLがメーリングリストとSNSの融合化したサービスの開始です。いずれもこれからのメーリングリストの発展に特筆な出来事といえます。それぞれについて振り返ってみましょう。 ● メーリングリストはメーリス!若者に人気のツールに 10代の学生やOLの間で生まれた言葉、それがメーリスでした。メーリングリストをなじみやすい略した言葉にするのは今までも考えられてきましたが(FreeMLが設立当初メルコミュという言葉を使用していた)、メーリスはすぐさまに溶け込み若い世代ではメーリングリストのことをメーリスと呼ぶあまりメーリングリストが正式名称であると知らないほどになっています。メーリスは特に携帯電話を使ったグループメールやグループチャットを利用するときに用いられ、仲間内でとりとめのないおしゃべりやその場で撮った写真を送りあう使い方をしています。いわば、友達同士の気軽なコミュニケーションツールがメーリスとなっています。「メーリスしよう」と何気なく使われるほどの流行ぶりは今年の大きなニュースです。 ● 携帯電話向けメーリスサービスが相次ぎ登場!大手プロバイダも参入 このメーリスの波が新たなメーリングリストビジネスを作り出そうとしています。携帯電話向けのメーリングリストサービスはこれまでにもありましたが、若者に注目されやすいサービスとコンテンツを打ち出したメーリスサービスが登場してきました。開設無料で、写メールやデコメール対応は当たり前、「メーリスをやろう!」と明るいキャッチコピーで顧客獲得に取り組んでいます。 この状況に大手プロバイダも注目するようになり、これまでオプションサービスとしてメーリングリストを提供してきた@niftyが新たに若者向け携帯メーリスサービス「プリメ」を開始。対応携帯キャリアが限定されているなど改善点は多いものの、今後の発展は確実といえます。 こうしたメーリスが脚光を浴びて続々とサービスが登場する反面、メーリス提供会社の弱肉強食は避けられないといえます。大手プロバイダも参入し知名度と資本力で競争を勝ち抜く動きも出てきており、熾烈な競争となりそうです。メーリスの火付け役となったsugu.CCもすでにGMOに取り込まれており、これまでのメーリングリストサービス会社が歩んできた道をメーリス事業でも再びたどることになりそうです。 ● FreeMLがこれまでのSNSとMLのサービスを融合化。MLコミュとしてリニューアル 昨年にSNS機能を取り込んだFreeMLのサービスが、今年はメーリングリストシステムと融合させたMLコミュを開始。SNSでウェブ上からの投稿をメールで登録メンバーに配送でき、これまでメーリングリストとSNSが独立していた機能が融合される形となりました。 今回のFreeMLのリニューアルは、既存のメーリングリストは変更設定をせずにこれまで通りの運用ができるものの、管理機能の一部に変更があり操作面で戸惑いが多くなりました。FreeMLは、これまでのメーリングリストサービスからSNSを基本としたコミュニティとなり、もはやメーリングリストという単一サービスからは路線を離れたと言ってもよいでしょう。 ● 手軽なメーリングリストサービスが空洞化 FreeML, Yahoo! Groups, Googleグループなど、大手は高機能化システムの路線を歩み、利用者にとっては使い方を習得するのが大変になってきました。そのため、大手の売りであった使い勝手のよい機能性メーリングリストサービスが利用者の手から遠のくようになりました。一方、中堅のメーリングリストサービスは既存のシステムの改善は特に見られず、現状維持のサービス運営を続けています。これが利用者にとっては、手軽に使いやすいメーリングリストサービスを見つけられない状況となりました。これまでのFreeMLのような、専門知識がなくてもウェブ管理がしやすい充実したシステムの提供をしてくれるサービスが存在しない「空洞化」が懸念されます。需要との開発経費との兼ね合いが問題ですが、メーリングリストを開設したい人はまだまだ健在であるだけに、この空洞化の穴埋めする事業はビジネスとして意義があるといえます。 ● 古くからのメーリングリスト利用者も意識改革を メーリングリストがコミュニティの主役を担っていたときからの利用者にとっては、メーリングリストでのメールでのやりとりこそ確固としたコミュニケーションであると考えている人も少なくないでしょう。私もそう考える一人ですが、やはりコミュニケーションの形態が多様化していくのを受け入れていくのは大切です。メーリングリストもコミュニケーションだけでなく、気軽なおしゃべりや写真の交換、あるいは事務連絡などのツールとして活用されてきています。そして、SNSとの融合化といった新たな進化も見せ始めました。長くメーリングリストとつきあっている人にとっては、既存の固定概念でメーリングリストを見続けがちです。それは、過去を引きずった狭い思考に留まります。新しいものへの意識を常に持ち、新たな形態のメーリングリストを受け入れていくよう努めるのがよいといえます。 ● @niftyのフォーラムサービスが終了 最後に追記ですが、今年の3月をもって アットニフティのフォーラムサービスが幕を下ろしました。パソコン通信時代からの長きにわたる情報交換の場が時代の変化でその役割を終えました。運営が主宰者の責任で行われるきちんとしたコミュニティがなくなるのは残念ですが、いつしか現状にあった形で新サービスが登場してほしいです。 今年は「 メーリングリスト開設の手引き」がコンテンツを公開して10周年でしたが、来年は「 メーリングリストビギナーズコラム」と「 メーリングリストインフォメーションストリート」が10周年を迎えます。今年できなかったお祝いイベントをひとまとめにして来年できたらよいと考えています。
2007年12月23日発行 第279号
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