特集:引用の誤解と使い方ウェブサイトを作成したりブログで批評を書くとき、参考として他の人の書いた内容を引用したいときがあります。ところが、この「引用」を誤った解釈をして使う方が多くいます。その多くは、他の人の内容を丸ごと取り入れるのが引用と解釈しています。今回はこうした誤った解釈をしがちな引用のしかたについて取りあげます。 ● 引用とは 引用とは、自分が言及したい内容を他人の著作物を用いて行うことです。その際に大切なのは、言及する内容が主で、引用した内容が従の関係にならなければなりません。これは簡単に言うと、引用だけしてその内容に関する批評なり意見をほとんど記載していないような使い方は認められないという意味です。さらに、引用の際は出所を明記しなければなりません。誰が書いた内容のものかをきちんと明示する必要があります。 ● 引用の使い方 では具体的に引用はどのようにすればよいか例を挙げてみます。拙作のメーリングリスト開設の手引きのコンテンツを使って引用をしてみます。メーリングリストに関するレポートを例に引用してみます。 <例> 先日の会議にて取りあげられたメーリングリストについて調べました。メーリングリスト を簡単に説明すると次のようになります。 メーリングリスト(Mailing List)とは、電子メールを使ったインターネット活用法のひと つで複数の人に同じメールを配送できる仕組みのことです。メーリングリストは略して、 ML(エムエル)と呼ばれています。若者の間では、メーリングリストをメーリスの愛称で 親しまれています。 佐藤厚氏作成のメーリングリスト開設の手引きより引用 URL: http://www.kt.rim.or.jp/~atsato/ml/basic/whatml.html つまり、メーリングリストを使えば社内でのメール連絡の際にアドレスブックから該当 者を選んで送信先に取り込む作業が省けるようになります。メーリングリストを導入す れば、ほかにもお客様とのコミュニケーションを図るにも役立ちます。ぜひ社内連絡手 段として取り入れべきと考えます。おおざっぱな内容ですが、上の例では引用元であるメーリングリストの説明があって、それをふまえた意見を記述することで主従関係ができています。また、出所の明示もしてあるので、引用としての扱いができています。 ● 転載と抜粋との違い さて、引用とは別に転載や抜粋という行為があります。転載は、上記のような参考とする内容をふまえた言及をせず、そのまますべてを取り込む行為を言います。また、抜粋は一部を同様に扱う行為です。引用をもしこの転載もしくは抜粋と受け取っていれば誤りです。もし、自分がしたことが単に参考文献をコピーして自分のウェブサイトやブログに掲載するとなれば転載または抜粋であり、引用ではないのです。したがって、元の内容を使いたいときに依頼を出す際は、引用ではなく複製使用したい旨を伝えなければなりません。著作物を扱っている人は、引用と転載の違いを知っていますので、後になってトラブルにならないようにするためにもきちんとした表現を使うよう心がけます。 ● 著作者の意思を尊重するように 引用は公開されている著作物であれば誰でも自由に行えます。しかし、転載は必ず事前に許諾を得てから行うようにしなければなりません。無断転載は著作権侵害に抵触するためです。また、たとえ引用は自由にできるとは言っても作者本人がそれを望まないときは尊重するようにするのも道義上のわきまえとしてとらえておくのがよいでしょう。他人のものを利用するときはその人の意思を尊重する心構えは大切です。 誤解しがちな引用の意味と扱い方がネット上でも頻繁に見られます。その背景には、著作物の扱い方を知る機会が少ないためと考えられます。メーリングリストでの投稿や、ブログでの書き込み、あるいはウェブサイト制作など、あらゆる面で引用が必要になるときがあります。この機会に、著作物の扱い方を知ってみるのもよいのではないでしょうか。
2007年5月26日発行 第272号
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