特集:ネットで中傷被害にあったときの心得以前であれば、物事の分別をわきまえた自制ある言動・行動が当たり前に行われていました。すなわち、モラルをわきまえた行動です。しかし、こうした自覚ある行動をもち備えない人が多くなり、人前で他人に言ってはいけないことや、してはいけないことを平然とするようになってきています。近い将来、こうした状況はもっと深刻な社会問題となるのでしょうが、現状をどう対策してよいか被害を受けた人であれば知りたくなるはずです。 今回は、ネットでの誹謗・中傷対策を取りあげます。 ● まずは深呼吸から ブログや掲示板での書き込みに、意図しないような不本意な書き込みがあってもすぐに対処しないこと。頭がかっとなって冷静な対応ができないまま行動を起こせば火に油を注ぐ事態を招くだけで、それこそ収拾がつかなくなります。深呼吸して、ちょっと時間をあけてから対処するくらいの余裕を作ります。 ● 発端を把握しよう 中傷や嫌がらせをされるときにはなんらかの発端となる内容を自ら書いています。もし、これがないとすれば、単なる悪質ないたずらです。自分が書いた内容のどの部分が発端となっているのか、元の内容をまずは読み返してみましょう。その際、第三者からの書き込みは読まないようにします。感情的になりやすく、パニック状態のまま元の内容を読み返しても頭の整理がつかなくなるからです。 ● 内容に根拠があるか調べよう 中傷と批判の違いは、前者は根拠や論拠のない言いがかりであるのに対して、後者は元の内容をふまえて背景や経緯を示しながら論理的に述べています。この二つの違いを必ず見極めてください。これができるかできないかで、その後の対処の仕方に大きく影響します。 ● 返答の価値がないものは一切無視 口では簡単に言えますが、これが一番精神的に難しいです。比較的規模の小さないざこざならまだしも、予測もしない扇動的な嫌がらせで野次馬を寄せ集められるとそうはいかないのもたしかです。対処としては、先に述べたように、中傷と批判の書き込みを見極めておき、根拠をただした内容のみに対応を絞ります。それ以外の内容は、思い切って一気に削除します。削除されて何を言われようが、吐き捨て文句だけを書き殴る側があきらかに道義上問題があります。また、些細な言動まですべて相手にしようと考えれば身が持ちません。精神的にまいってしまうのは、すべてにうまく対処して丸く収めようと努力するためです。性格にもよりますが、物事を割り切れる図太さも必要です。 ● ほとぼりが冷めれば終わる 突発的な中傷の書き込みがあった場合、とりわけ野次馬やひやかしが殺到したときは短期間でほとぼりが冷めて沈静化していきます。もちろん、こうした無責任な行動をする側に問題がありますが、見方を変えると熱しやすく冷めやすいのも現状です。しだいに別の火種のあるところへ去っていくので、一瞬の出来事くらいの気持ちがもてるようにするのも手です。神経質な人にとっては難しい技量ですが、ネット上で自分をアピールする活動や運営をしていく上では覚悟しておかなければならないので、身につけておくのが賢明です。 ● 最悪の場合の対処のしかた 個人情報やプライバシーに関わる内容を別のサイトに書き込まれたり、元の内容を別の場所に無断転載され、そこで名誉毀損に該当するような書き込みをされたときは、該当する運営管理者に依頼して対処してもらうことになります。しかし、サイトによってはまったく対応しないところもあります。この場合、最悪の手段として法的措置を執らざるを得ません。その際は、ます弁護士会事務所に相談してみるのがよいです。ネット上のトラブルも弁護士を通じて相談に乗るケースが多くなり、何らかの知恵を教えてもらえます。もし、本気で訴訟を起こすとなれば大変な労力が必要となります。基本的には、書き込み者を特定するための情報開示命令を裁判所から出してもらい、それをもとにプロバイダに問い合わせて個人を特定し、訴訟手続きをとります。場合によっては開示情報だけでは個人を特定できないときもあります。さらに、プロバイダによってはプロバイダ責任法と個人情報保護の観点から期待通りの情報を開示してもらえないかもしれません。悲観的になるかもしれませんが、逆に言うと決定的な開示情報が得られれば加害者は相応の報いを受ける結末に至るのです。世の中そう甘くはないとはまさにこの点にあります。 法的手続きによる具体的な方法については以下のページに詳しく書いてあります。 ネット上のトラブルを解決するための法律がまだ整っていない以上、できる限りの知恵を絞って対処しているのが現状です。近頃ではマスコミが社説で取りあげるほどの社会問題になっています。身勝手で無責任な行動や軽率さが身を破滅させることに加害者自身が気がつかないでいると、その行いでいつしか大きなしっぺ返しを受けるでしょう。しかしそれよりも被害を受けた人をいかに救済していくかが大きな課題です。人として恥ずかしくない行動を実生活同様ネット上でもしていくのが利用者の大原則であることを忘れずにしてもらいたいと願うばかりです。※ ブログやSNS、メーリングリストのコミュニケーションにも役立つコラムもあります。興味がありましたらご覧ください。
2007年4月26日発行 第271号
|
前の記事
記事一覧
次の記事
全バックナンバー
MLweeklyトップページ
|
|
![]() |
ML weeklyは「まぐまぐ」の発行システムを利用しています。 マガジン発行ID: 0000026807 |