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特集:メーリングリスト開設の手引き10周年


 メーリングリストの開設・運営のための情報サイトとして立ち上げた「メーリングリスト開設の手引き」がこの9月にて10年を迎える運びとなりました。10年間、多くの方に閲覧された記念を込めて今回は開設してからこれまで至る話を取りあげてまいります。

● トップページを作ったのが1996年9月

 先にお話ししますが、10周年とはいってもトップページを作ったのが1996年9月です。基礎知識編など本格的なコンテンツを作り始めたのは翌年3月からでした。その間に、メーリングリストプロバイダリストやリンクを少しずつ作ってました。

● サイトを作ったきっかけ

 その当時、ちょっとした規模のメーリングリストを運営していました。メンバーも600名をこえるほどの活気あるメーリングリストでした。当時はパソコン通信全盛でインターネットがようやく一般家庭に普及し始めていた頃でした。ネットでのコミュニケーションは今後インターネットに展開されるだろうという予感と、メールを使ったコミュニケーションはメーリングリストが最適であると運営をしながら実感していました。そこで、このノウハウをインターネット上で公開しようとサイトを作りました。

● 毎月雑誌社からリンク依頼が

 1997年春から本格的にコンテンツを作っていったのですが、まさにインターネットブームでメールやホームページの活用が注目された年でもありました。そんな中、毎月あらゆるネット関係の雑誌編集部からサイトの紹介とURL掲載の依頼がメールで届きました。多いときには月に4誌くらい来るときもありました。インターネットやパソコン関連の雑誌だけでなく、婦人誌からも依頼が来るほどでした。今にしてみれば素人が作成したサイトが雑誌に掲載されるなんてあの当時ならではと思うばかりです。その当時の掲載誌は今なお書棚に飾ってあります。

● ヤフーのクールサイトという勲章

 1998年の2月にヤフージャパンのカテゴリ再編の際に、メーリングリスト開設の手引きサイトに赤いサングラスのマークが付けられ、クールサイトとして掲載されるようになりました。当時、うぬぼれながらクールサイトになればと思っていたのですが、本当に掲載されたときはうれしい思いでした。現在もなおクールサイトとして掲載されており、これがサイト運営を継続する原動力となっています。

● スポンサーまでついた!

 1998年ごろからネットベンチャーブームでメールを使ったビジネスも数多く起業しました。当時は売り込みとあって、個人運営のサイトにも広告掲載を申し込むケースがたくさんありました。メーリングリスト開設の手引きにも広告掲載の依頼が舞い込んできました。きちんとした料金を決めて応じましたが、まさか自分が運営しているサイトで固定収入が入るとは思いもしませんでした。今ではアフィリエイトのサービスを利用して収入を得る方法がありますが、成功報酬がないと高収入が得られません。しかし、そのときのスポンサーはバナー掲載だけで収入が入っていただけに幸運でした。

● マスコミに取りあげられる

 クールサイトは勲章のようで、ついにはマスコミからサイトの紹介依頼が寄せられました。あの、「あるある大事典」にも取りあげられました。サイトが紹介された直後、アクセス数急増で2時間あまりで500アクセスは超えていました。さすがは全国放送の力はすごいとマスメディアの効果を思い知らされました。さらには日経新聞の日曜版でもURLが掲載され、この日もアクセスがテレビ並みに急増しました。今までマスメディアの影響とは無縁だっただけに、取りあげられたときの効果は絶大になることがよくわかりました。そのほかにも、NHKの地方番組や教育テレビのテキストなどにも紹介されるなど注目される存在となりました。

● そして書籍執筆も

 サイトを作って最も大きな出来事となったのは、書籍を執筆する機会でした。出版社から執筆依頼が寄せられたときは本当にびっくりでした。本業とのバランスを考えての多忙な毎日を過ごすことにはなりましたが、自分で書いた本が世に出る喜びを味わえたのはうれしい限りでした。そして世に出た初の著書が、「腸入門初心者もつまずかないメーリングリスト」でした。おかげさまで初版本は完売となりました。現在でもこの本はオークションでも出ますが、あまり出展されていないようです。  今だから話しますが、実は書籍執筆はそれ以前にもありました。メーリングリストの技術本だったのですが、別の部署で似た企画が進んでいるとあって没になりました。

● 雑誌記事執筆依頼まで舞い込む

 これは書籍を書いてわかったのですが、出版してから後に雑誌社からもメーリングリストに関する原稿執筆依頼が舞い込むようになりました。派生効果というのでしょうか、それがもとで新しい機会が舞い込むというのを肌で感じました。インターネットだから出会えた機会が、執筆であったと今でも思っています。そのおかげでちょっとした副収入も得られました。

● 進まぬコンテンツの追加

 サイト作成の一番の悩みは、構想はできているものの一つ一つの内容をまとめ上げて掲載物として完成できない点です。基礎知識編、開設編ほか各項目にはたくさんの目次が書いてありますが、どれも10年前から考えていた内容で、少しでも作り上げようと気持ちだけはあります。なかなかそれが進まないのが実状です。思いつきで新企画もやって手を広げているだけに、本道を築くのも忘れないよう心には言い聞かせています。

● 今でも根強いアクセス

 これには本当に感謝しています。ブログやSNSといった流行のシステムにメーリングリストは押されてしまい、コミュニティとしての顔は薄れつつあります。しかしながら、連絡手段や深いコミュニケーションをはかるには今でもメーリングリストはその優位性はもち備えています。この認知は10年という歳月をかけたからこそ培われたのではないでしょうか。そう実感させるのが、安定したサイトの閲覧者数です。もしメーリングリストがすたれていたら、とっくにこのサイトの利用者も激減しています。ところが、いっこうに減る傾向は見られないのです。メーリングリストはインターネットの活用に深く根付いた貴重な存在であるといってもよいでしょう。

● 今後の展望

 私はこれだけ作り上げたメーリングリスト開設情報サイトをあっさり廃止するつもりはまったくありません。メーリングリストは細く長くその存在を維持していくように、私も少しずつマイペースでライフワークとして発展させてまいります。トップページくらいリニューアルしてみたいのですが、見栄えよりも中身、そしてちょっと変わった企画もたてながら、気がついたら何かが増えているサイト作りをめざします。流行やトレンドに振り回されず、その良さをアピールしながらメーリングリストの情報を提供していきます。これからも応援してください。

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