特集:2002年のMLを振り返るソルトレーク冬季オリンピック、星野阪神開幕連勝、ワールドカップ、政治とカネ、拉致、株価低迷、ノーベル賞ダブル受賞、そしてイラク査察。2002年はあまりにもたくさんの出来事があった一年でした。そして、まだ立ち直らない景気にやりきれぬ思いの一年でもありました。 2002年、メーリングリストの出来事を振り返ってみましょう。 <プロバイダ・企業編> ○ 消えゆくMLプロバイダ 今年もメーリングリスト開設プロバイダの廃止・撤退が相次ぎました。MLサービスの草分け的存在だったココデメールをはじめ、Mozy、Rave、サガズなど代表的なサービスが姿を消しました。無料サービスの中でも 特に広告収入だけに依存しているところの廃止が目立ち、広告収入依存型ビジネスの厳しい現実を目の当たりにしたといえます。 ○ 大手MLサービスの資本強化が生き残りのカギ FreeMLがオプトインメールを基盤としたGMOメディアソリューションズの一事業となり、メールマーケティングを主体とする企業は統合や合併で巨大化してきました。もはやメーリングリストだけでビジネスは成り立たない時代。その背景はネット広告ビジネスと大きな関わりがあるのは言うまでもありません。 ○ 広告効果と投資と宣伝費削減の悪循環 インターネット広告がもてはやされたころは、広告媒体の革命とまで言われたネット広告。しかし、広告主は思ったような利益が得られず、不況のあおりで広告費の節減と重なりその需要が伸び悩んできました。オプトインメールは希望する人に特定の情報を送る手段として効果があるものの、あまりにも多くの同業サービスが増えたため、広告主確保でどの会社も大変な状況です。景気がよければ力任せの宣伝をかけるようになり、こうしたビジネスも活気を取り戻せるのですが、現在のままでは悪循環を繰り返し、資本がつきていくところから撤退が始まる望まない方向へ進みかねません。 ○ 非営利から発展の道が メーリングリストを実験レベルから新たな発展へとつながる道が見いだされています。QuickMLがその代表例でしょう。QuickMLはメーリングリストを研究レベルから開拓し、開発、実装の実験を繰り返し、本サービスとして提供しています。メーリングリストをビジネスとしていくのではなく、純粋な研究から産業へ発展させていく新たな展開が見られたのはこの一年でもっとも明るいニュースでした。 <ユーザ・個人サイト編> ○ ML GARDEN.COM廃止 月刊ML紹介に次ぐメーリングリスト紹介サイトの老舗「ML GARDEN.COM」が廃止を決定。また一つメーリングリストの個人サイトが姿を消しました。このサイトは数年前からサーバーの事故でサイトの復旧が困難な状況にありました。今夏、データの完全復旧が難しい理由で再開を断念。本当に残念です。 ○ 幽霊メーリングリスト削除の必要性 無料MLではメーリングリスト開設は促進しているものの、活動していないメーリングリストや無意味に作ってしまったメーリングリストの削除をしないため、活動している有用なメーリングリストを見つけるのが大変になってきました。一部では、無用メーリングリストを削除する声も高まり、サービス側に対応が迫られています。作るだけではメーリングリストは発展しない、その意味を提供する側も理解していかなければならないのでは。 ○ 発展に悩む管理人 メーリングリストの乱立は同時にがんばっている管理人にも苦悩を与えるようになりました。似たメーリングリストばかりで参加者側も選択できず人も集まらない、宣伝するにも限界があり思うように発展せず挫折する管理人も少なくありません。優良メーリングリストをサポートしていく環境が望まれています。 ○ ブロードバンドサービスでメーリングリストの知名度が減少? ADSLの普及はメールでのコミュニケーションにも利益をもたらすはず。しかし、掲示板のような馴染みやすさがないのがメーリングリスト。しかも、ストリーミングやビデオチャットといった目新しいメディアに注目が集まり、メーリングリストはどんどん日の当たらない場所に追いやられていく傾向があります。メールでのコミュニケーションは自分の考えをまとめやすく、しっかりした意見交換やおしゃべりができる利点があります。その良さを忘れ去られようとしている、そんな危機感を漂わせつつあります。 ○ メーリングリストはまだまだ捨てたものではないぞ 今回、一つはっきりとわかったことがあります。メーリングリストは決して捨てられているメディアではないという点です。Yahooで「メーリングリスト」と検索する人が数多くいるのです。実は、「メーリングリスト開設の手引き」をYahooやGoogleを使って訪れる人は「メーリングリスト」をキーワードに検索しており、その数はかなりのものです。メーリングリストとは何かを知りたい人は実際にはたくさんいるのです。そういった人たちにメーリングリストの良さを知ってもらえれば、まだまだ発展の道は大いにあります。時代に左右されない良さをメーリングリストはもっています。それを広めていくのが課題といえるでしょう。 そのほかにもメーリングリスト取り巻く話題は数多くありました。コンピュータウイルスもその一つでしょう。また、国語力低下が問題視され、文字を使ったコミュニケーションでも以心伝心がかみ合わない文章が不毛な言い争いの種をまくケースが以前より多発しているのはその表れといえます。 ともあれ、世界全体が不況に苦しむ現在、明るさの兆しを少しでもはやく見つけ出したいものです。メーリングリストの未来も経済情勢と深く関わりがあるだけに、一刻も早くこの不況から脱出したいと願うばかりです。
2002年12月13日発行 第108号
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