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特集:管理人必読!ROMへの強制投稿を問う


 メーリングリストにメールが流れない。管理人の自分はがんばっても誰もメールを出さない。ROM(メールを読むだけの参加者)ばかりで盛り上がらない。そんな中、ROMの人に投稿させようと退会を促す督促状を出して無理やりメールを書かせる管理人が急増しているように見受けられます。結局、それがきっかけでメーリングリストでもめ事を引き引き起こす醜態も時折見かけます。今回の特集は、自分ではよかれと思っているROMに対するメール投稿が実は管理人だけの自己満足でしかない結末になってしまう危険について説明します。

 今回は結論を先に述べます。「ROMへの強制投稿はメーリングリスト運営での愚策中の愚策です。」それに気がつかない管理人が多くなってきています。

○ こんな考えをしていませんか?

 みんながメールを出せば盛り上がる。ここまではいいでしょうが、期限をつけたり、退会をほのめかすような催促メールを参加者に送りつけて、はたしてメーリングリストが盛り上がるでしょうか?
 おそらく管理人は、メールさえ流れれば誰かがそれに返信をするだろう。そうすれば自然とみんながメールを出す。そんな夢物語を脳裏に浮かべているのではないでしょうか?しかし、これは管理人の自己中心的な幻想だということに気がつかなければならないのです。

○ 「メールを出さなければ退会してもらいます」と言われて気持ちよいメールが書けますか?

 メーリングリスト上でも私信のどちらでもそうですが、「メールを出さない人は退会してもらうので、メールを書いてください。」と催促されても相手は気持ちよくメールが書けるでしょうか?素直に考えてください。「はい、それでは書きましょう」なんて快く承諾できますか?できないですよね。権力を振りかざして退会をちらつかせる主催者の傲慢さに参加者は怒りを覚えるでしょう。これが、管理人と参加者との間に溝を作るきっかけとなり、場合によってはメーリングリストで猛反発を受ける結末になるのです。
 ここで絶対に忘れてはならないのは、人に無理やりメールを書かせても相手は楽しいメールを書けはしないのです。管理人の立場からすれば、要求すれば自分の思い通りのメールが流れると思いがちです。しかし、これが大きな過ちで、相手は不愉快な思いをしてメールを「書かされる」思いを植え付けられているのです。

○ 無理やり書かされたメールが流れて満足するのは管理人だけ

 メーリングリストの中には最初はしょうがないからと大目に見てメールを出してくれる人が幾ばくはいます。そして管理人はそれに喜ぶでしょう。でも、その内容に果たして返信がつくでしょうか?管理人はこれぞとばかりに返信を書いても、投稿した人や他の人が新たに返信をしてくれるかというと結果は難しいです。投稿した人は目的を果たしたのだからこれ以上の強制はされたくないと思うでしょうし、他の参加者からすれば「管理人につきあわされている」という印象をもたれるのです。
 結局、メール投稿の催促をしても管理人の自己満足で空回りしているだけなのです。

○ 閑古鳥でメールが出せますか?

 メールが流れない。メールを出す人がいない。そのような状況で人にメールを書けといってどんなメールを書けばよいのでしょうか?このような状況で特に私信でメールの催促をすればまず反発を受けます。以下の点は十分留意してください。
  • メーリングリストが盛り上がらないのをROMのせいにするのは管理人本意の偏見
  • メールを投稿するのは参加者の義務と考えるのも管理人の過剰な偏見
  • どんなメールを書けばよいのかわからない場で「何かメールを出して」は参加者に失礼
  • 話についていけない人や、現在の話題ではメールが書けない人がいる点を把握する。
  • メーリングリストのメールは誰しもが楽しいと感じてはいない。
  • 参加者全員がメーリングリストのメールを読んでいるとは限らない。ゴミ箱直行や無視している人もいる。
  • 参加者全員がメーリングリストに愛着をもって参加しているわけではない。
  • ひとりひとりメール投稿のチェックをされるのは参加者にとっては気分の良くないもの。
  • とても重要なことです。今や同じメーリングリストはいくらでもあるのです。強制されてメールを出す高飛車なメーリングリストに残ろうと考えない。
 たとえば、常連だけが内輪の話をしていて他の人が参加しにくい状況でメールの投稿を強制されたらどう感じますか?まして「退会」をほのめかされたら相手はどうするでしょうか。すぐ思い浮かぶ選択肢はふたつ。メーリングリストを自主退会するか、抗議の返信をするかでしょう。

 管理人として忘れてはならないのは、現在のメーリングリストの雰囲気を考慮せずに一方的に参加者とくにROMに無理やり投稿を要求しても、管理人が思い描く結果にはならないのです。そして、そのようなことをしても誰も利益にならないのです。ROMは不快感を覚え、管理人は反発に対する対処や退会者の続出という結末を迎えるからです。

○ 投稿の催促は「自己紹介」が限度

 管理人からすれば入会したなら一度はメールを出してもらいたい心情はわかります。最低限一回はメールを出してメーリングリストで素性を見せてもらいたいところでしょう。参加者に要求するとしたら、自己紹介は必ずしてもらう。それがない場合に限り長期の参加を遠慮してもらう旨をルールにするのが、管理人のできる最大限の策といえます。それ以上の強制投稿はかえってメーリングリストの雰囲気を悪くします。

○ ROMも大事な参加者

 忘れてはならないのは、ROMは新たな常連となる予備軍なのです。メーリングリストの雰囲気次第では今はメールを出さなくても、出してみようかなと考える人がいるものです。だからこそ、ROMを軽視してはいけないのです。無理やりメールを書かせようとすればこうした気持ちが芽生えつつある人もその気を失せるでしょう。最近はメーリングリストに参加するのはメールマガジンと同じように人からの情報をもらうだけの目的で、メールを出すという意欲そのものをもっていない人が多いのが現状です。だからといって、無理やり何かをさせても効果はないのです。

 盛り上げようと熱心になるのはよいことです。でも、むきになって相手の立場を考えない行動をすると、気がつかぬうちに陰湿になってきます。相手にそれを見抜かれればお互いの信頼関係は遠のくでしょう。どんなことをしてでも相手に何かをさせようと言う気はリーダーシップをとる上でも出過ぎた行為の始まりになります。「もし自分が相手の立場だったら」という余裕をもった広い心でメーリングリスト運営をするよう心がけてください。


2002年9月18日発行 第103号


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