教えて先輩:管理人が訴えられることってあるの?以前、何かで聞かれたことがあった質問で、いつか取り上げようと思っていました。先日、掲示板サイトで有名な「2ちゃんねる」で中傷発言の削除をめぐり被害者が告訴した裁判で、主催者側に賠償を命ずる判決が出ました。過去にも、パソコン通信サービス「ニフティサーブ」(現在のアットニフティ)のフォーラム(電子会議室)での発言を巡り訴訟問題になった事件があり、シスオペ(MLの管理人にあたる立場の人)やニフティに責任がある判決が出た例があります。
さて、メーリングリストで裁判沙汰となるような事件が起きたら管理人はどうなるのだろう・・・と、主催している人は不安になるはずです。私は法律の専門家ではありませんが、訴訟問題になった場合どうしたらよいか述べてみます。ただし、あくまでも私見ですので、あらかじめふまえておいてください。
では、実際にどこまで責任がとれるのでしょうか?それぞれについて考えてみます。 1. 中傷や名誉毀損行為が出た場合 もし、放置しているとしたら管理人にも問題が出るでしょう。というのも、被害者の名誉回復を怠ってしまえば、主催者としてコミュニティ運営上で必然的に発生する運営管理義務を怠ったことになります。 しかし、名誉毀損や誹謗中傷のメールが流れたとき、それに注意を促したり、悪質な場合には除名処置を執るなり、可能な限りの行動をとっている場合は一方的に責められることはないでしょう。基本的には以下のような処置があります。
2. メール配送事故が生じたとき エラーメールや設定ミスで大量のメールがメンバーに送られてしまい、メンバーのメールボックスをあふれさせ、業務に支障をきたして損害を与えるケースです。これは、自前でサーバー運用をしている管理人の場合に限定されるので、メーリングリストプロバイダを使っている人はほとんど起こらないでしょう。自前のサーバーでメーリングリスト運営をする場合は、くれぐれも事前に設定の不備がないように十分なテストをしてから運営開始するのが望ましいです。 3. メーリングリストでウイルスが流れたときの責任 これはシステムの都合上、管理人には責任がとれません。メーリングリストはメールを出したら途中で止められず、管理人ですらそれを防げません。責任はウイルスを流した人にありますが、意図的に流すケースはまれです。とはいえ、管理人としてできる限りメンバーに迷惑をかけないよう、添付ファイルの配送を禁止したり、メールの容量制限をするなど対策を施す度量をしておきましょう。 4. メーリングリスト以外でのメンバー間の出来事 ここまではさすがに無理があります。たとえば、メーリングリストのオフ会で暴力事件が起きて、その責任を問われても筋違いと言いたいところです。メーリングリストの外でのイベントは当事者間の問題として扱ってもらうようどこかで呼びかけておくのもよいでしょう。 問題は、ストーカーのような陰湿な行為が起きたときです。こちらも、管理人の責任は問えないでしょう。こうしたトラブルはまさに予測できない事態です。私には責任がないからというのも問題解決にはならいので、プロバイダへ問い合わせをするよう助言をするよう努めましょう。管理人の責任を果たす対策としてはこれが限界です。 一番問題となるのは、メンバーの名誉を傷つける行為を見て見ぬふりをして処置をしないケースです。これはさすがにメーリングリストを開設した人の怠慢になります。訴えられるか否かは別として、管理人をしている以上はメンバー間のトラブルを解決する仕事は欠かせない義務である点を十分理解しておくのが大切です。それが後の責任問題をどう判断されるかにつながるからです。 2002年7月3日発行 第99号
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