特集:手紙を書いてみよう電子メールが公私において欠かせない連絡手段となった昨今、すっかり直筆で手紙を書く習慣が影を潜め、すたれつつあるほどまでになっています。かくいう私も、なかなか手紙を書く機会がなく、暑中見舞い、残暑見舞いも出さずじまいの生活です。紙に肉筆でしたためた手紙は、ふと電子メールにはない心のぬくもりを相手に伝える要素があることを思い起こさせてくれます。 今回は私自身の勉強もかねて、手紙の書き方を特集として取り上げます。形式に乗っ取った手紙の書き方を手元の手引書を片手に書きつづってみます。 ○ 手紙の基本的な書き方 電子メールは、型に沿った書式は意識せずに用件を的確にまとめるのが基本ですが、手紙には一定の決まりがあり、今ではこうした型が忘れられつつあります。 手紙の書式は、封書と葉書では異なります。 <封書の場合> 「前文」、「主文」、「末文」、「副文」の順で構成されます。 <葉書の場合> 「前文」、「主文」、「末文」の順で構成されます。 前文 導入に当たる部分で、冒頭挨拶をする「頭語」がまず来ます。頭語は最後の結語と対応させなければなりません。代表的な頭語と結語は次の通り。 拝啓 → 敬具 (一般的) 謹啓 → 謹言 (丁寧な言い方) 急白 → 草々 (急ぎの場合) 前文の次は時候の挨拶で、8月であれば晩夏といった言葉を使うなどして季節に適した文にまとめます。安否を気遣う手紙であれば時候の後に挨拶文として書きます。 主文 手紙の本文。「さて、」や「ところで、」、「この度、」といった接続詞からはじめると書きやすい。主文は本文の要であるので相手に読みやすく、そして気持ちを伝える内容を吟味します。 末文 締めくくりの言葉を書きます。相手の健康や幸福、繁栄を表す文章をまとめるようにします。最後に前文に用いた頭語に対応する結語を忘れずに。 副文 追伸があればここに書きます。 ○ 縦書きと横書きの選択 現代は意識しなくてもよいと思いますが、あらたまった内容や目上の人には縦書きがよいとされています。 ○ インクの色 青、紺、黒のいずれかが無難。赤は「絶交」のときに使うのだそうです。 こうしてみると、直筆の手紙は堅苦しい形式がたくさんありますが、それだけに言葉では言い表せない心の中を別の形で表現してくれているのがうかがえます。電子メールにはこうした要素を備えていないことがあらためてわかります。手紙の書き方については書籍がたくさんありますので、詳細はそちらにゆだねます。 夏休みにちょっと音信が途絶えた友人、あるいはご無沙汰になった恩師に肉筆の手紙を書いてみてはいかがでしょうか?きっと心温まる何かが得られるかもしれません。
2001年 8月 4日発行 第74号
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