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特集:メーリングリストの歴史(3)


 メーリングリストの歴史、第3回は、1996年後半から1998年までの流れを追っていきます。

○ 1996年はインターネットブーム!

 1996年といえば、もはやインターネットが爆発的に普及をはじめた頃になり、流行語大賞にノミネートされたのが翌年だったと思います。「インターネットする」という言葉も出てきたほどでした。余談になりますが、この「インターネットする」というのは、表現としては適切ではありません。「ホームページを見る」や「電子メールを送る」というように具体的な表現をしておかないと的確に伝えられません。といっても「インターネットする=ネットサーフィンする」はすでに定着したともいえます。

 さて、メーリングリストも1996年ごろから急増し、月刊ML紹介でも当時1000以上の登録数があったほどでした。毎月20日発行のニュース投稿も18から19分割されていました。(前回も書きましたが、月刊ML紹介はこの当時はWebではなく月に一回ニュースグループに投稿されていました。だから、「月刊」なんです。)
 インターネット接続プロバイダでもメーリングリスト開設サービスをはじめるところが増えてきたのが、メーリングリスト増加に一役かっていたといえます。

 筆者の開設している「メーリングリスト開設の手引き」は1996年の秋にトップページが公開されました。この時点ではコンテンツはなく、プロバイダやML関連のリンクを集めたページを用意したのが1997年3月で、ここから本格的なスタートとなります。

○ メーリングリストと広告配信というアイデア

 1997年の1月頃、ある人からこんなメールをもらいました。

「メーリングリストを無料で開設できるサービスってもうかるかな?配送メールに広告を挿入することで無料提供しようというシステムなんだ・・・」

 なるほど・・・。と、さほど感動はなかったものの、よいアイデアだなというのが第一印象でした。当時、こんな返信をしたと覚えています。

「いいアイデアだね。でも、広告が何種類もないと同じものを受信者に見せちゃうからそのへんが工夫がいるかも。。。」

この一カ月後に、無料メーリングリストサービス「List.Net」が産声を上げます。

 この会社が私あてに来たメールの対象だったのかは未だ不明ですが、本当にできたんだと最初は驚きでした。
 無料メーリングリストサービスは、いって見れば広告つき官製はがきで手紙が送られてくるのと同じで、安価(この場合は無料ですが)なかわりに、広告が入っても文句なしというしくみです。今でこそビジネスモデル特許が騒がれていますが、もしこのビジネス方式に特許申請を誰かがしていれば莫大な特許料が入ったのではないかと思っています。ちなみに、アメリカでこの当時、無料メーリングリストサービスがあったかは私も知りません。

○ 無料メーリングリストプロバイダが急増

 LIst.Netはサービス開始以来、大きな注目を浴び開設申請が殺到したほどでした。一時、受付を休止してサーバーを増強して募集を再開といったくりかえしをしていました。同業者も相次いで設立され、サイバートレーディングが次に名乗りを上げました。今でこそ有料サービスですが、最初は無料だったのです。その後FreeML, DNS(後のインフォキャスト、現在はシナジーマーケティング), TAMインターネットサービスといったプロバイダが続々参入していくようになります。

○ 月刊MLがWebに

 1997年4月から、今までニュースグループで活動してきた月刊ML紹介がWebに移行しました。この頃に、WebでML紹介をしていたのはこのほかに「電子メール配信・メーリングリスト紹介」というサイトがありました。残念ながらこのサイトは現在消滅してしまいましたが、メールマガジンの前身である電子メール配信サービスの紹介をしていたこのサイトは先見があったと思っています。ML-GARDEN.COMがこの後登場し、当時3大ML紹介サイトとして広まっていきます。

○ メーリングリストの本が出版!

 技術評論社から、「メーリングリストカタログ」というメーリングリスト紹介本が発売されました。1997年5月のことです。半年前から編集者が紹介MLを探していてニュースグループではちょっとした話題になっていたほどでした。発売初日からしばらくの間、掲載メーリングリストは入会ラッシュが相次いだといわれています。この本、そろそろ絶版になったかもしれません。第2弾が出てほしいと願っています。

○ 当時のMLプロバイダのサービス事情

 MLプロバイダのサービスも最初は大変でした。加入件数がサーバーの負荷に耐えきれずダウンすることもしばしばで、障害報告が頻繁に出ていては苦情の書き込みがサポート掲示板に多発するといった状況でした。事業でMLを提供するのは技術的、人的にも大変なのでしょう。また、無料サービスでは広告収入源が経営を左右するだけに、サーバーの増強が思うようにできないなど台所事情も大変だったようです。1998年ごろになると、サービス終了の掲示をするMLプロバイダも登場してきました。無料プロバイダの老舗List.Netもこのころから新規申込みを制限するようになり現在に至っています。ML事業も光と影をみせるようになってきたのも1998年からでした。

 最終回は、MLサービスのトップランナーたちについて取り上げていきたいと思います。

2000年 7月8日発行 第18号


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