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よもやま話:MEDIAS TAB N-06Dモニタ体験記

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 テレビ放送の地デジ化完了後、アナログ放送で使われていた周波数が新たにモバキャスの名称で携帯端末向けテレビ放送用に割り当てられました。3月末からモバキャスの最初の放送局として、NOTTV(ノッティービー)が開局しました。

 今回、このNOTTVを体験できるモニタに応募したところ、視聴用の端末であるMEDIAS TAB N-06Dが貸し出されました。2週間と短い期間でしたが、私にとっては初のAndroid端末を使うよい機会を得ました。そこで、このN-06Dの使い心地をまとめました。

 写真付きの紹介記事をブログに掲載しています。こちらもぜひご覧ください。

● MEDIAS TAB N-06Dの特徴

 MEDIAS TAB N-06Dは、通話もできる7インチサイズのタブレット端末です。主な特徴は次の通りです。

  • NTTドコモが提供する高速データ通信Xiに対応。
  • ワンセグ、おサイフケータイ、赤外線通信など、日本国内で使える携帯電話の機能すべてを搭載。
  • 防塵・防水機能。
  • スマートフォン向けテレビサービスNOTTVが試聴可能。
  • 本体をWi-Fiルータとして使用できるテザリング機能。

 ハードウェアの性能は、NECカシオモバイルコミュニケーションズの製品紹介ページに詳しく書いてあります。

 MEDIAS TABは、ガラケーと呼ばれる従来の携帯電話に備わっているすべての機能を詰め込んだ全部入りスマホならぬ、全部入りタブレットです。通話もできるだけに、大型のスマートフォンと言った方が似合っています。

● 機能美をもったスマートな外観

 大きさは、iPadやARROWS Tabよりひとまわり小さく、スーツの外ポケットにちょうど収まるほどです。CDケースを細長くしたくらいの横幅で、厚さもCDケースとほぼ同じです。ストラップを通す穴もついています。

 持ちやすさは快適で、縦にしたときは片手で、横のときは両手で気軽にもてます。電車内でシートに座りながら使っていても極端に目立つことはありません。

 端子類は側面に備わっており、アンテナも収容時は突起がないよう設計されています。丸みを帯びたシンプルなデザインは可でも不可でもない地味な印象こそありますが、実用性を重視した機能美を感じます。

● 画質と音質は一目を置くすばらしさ

 MEDIAS TAB N-06Dを使って最初に感じたのは、液晶画面の美しさと音質の良さでした。

 液晶ディスプレイは高輝度かつ高繊細で、7インチ画面で見るワンセグ放送は迫力があります。サッカーのような動きの激しい番組でもなめらかで鮮やかな映像が流れます。コントラストは液晶テレビに近く、くっきりとメリハリのある色合いです。外で使っているときは、さながら小型の液晶テレビを持ち歩いている気分でした。

 内蔵スピーカーはステレオで、左右上部に二カ所ついています。深みのある音質で、iPadより優れています。ヘッドホンでも同様で、広がりのある中低音が臨場感を引き立たせてくれます。インターネットラジオを高音質で楽しむにも適しています。

 持ち運べるメディアをうたい文句にしているだけに、AV性能には力を入れているのがわかります。

● 快適なXi高速データ通信

 この機種は、NTTドコモが力を入れている次世代高速通信回線Xiに対応しています。自宅のまわりではまだ使えませんが、地元の駅周辺がXi対応エリアなので、駅前広場で実際に試してみました。

 スピードテストはしませんでしたが、データ伝送の速さが体感ではっきり伝わりました。YouTubeやFlashなど伝送量の多い動画を読み込むときに違いがくっきりとわかります。外出先でクラウドサービスからデータをダウンロードしたり、写真などのアップロードを頻繁にする人には手放せないスピードです。

 後述するNOTTVの試聴でも、チャンネル切り換え時にデータ通信を行います。高速回線ほどこの処理が早いためチャンネルの切り替えが待たされず、軽快に番組を楽しめます。

 映像を楽しむのに適したMEDIAS N-06Dにとって、Xiは必要不可欠な通信回線と実感しました。

● タッチパネルの反応と電波の受信感度が悪いのが難点

 MEDIAS TAB N-06Dもいいことずくめばかりではありません。実際に使っていて気になる点がいくつかあります。

 ひとつめはタッチパネルの反応が遅いです。ワンセグやNOTTVのチャンネル切り替えをするとき、指先で横に滑らせても応答せず、何度も繰り返してやっと動作するときが幾度もありました。また、ブラウザでサイト内に表示されたボタンを押す操作も一回でできないことがしばしばあり、ややストレスを感じました。試しにスタイラスペンを使って文字を手書きしてみたところ、描画が遅れるのがわかりました。

 もうひとつ気になるのが、ワンセグやNOTTV、そしてWi-Fiの受信感度が芳しくありません。テレビ放送は内蔵のアンテナを引き延ばせば受信感度は向上します。しかし、鉄筋の機密性のよい建物内で使用すると、窓の近くであってもアンテナをのばさなければ安定して放送を受信できません。さらに奥へ行くと受信が困難な場合もあります。NOTTVではさらに深刻で、せっかくの放送も途切れて受信できない場合もあります。端末本体の受信性能を向上させないと、せっかくのAV機能の持ち味を発揮できません。

 Wi-Fiの受信感度もやや物足りない感触でした。無線ルーターから1メートルほど離れたところから使用しても、信号強度が最大にならないときがありました。持つ手の位置や向きを変えると改善しますが、使用する上で気になります。

 タブレット端末ではタッチパネルの快適な操作と電波の受信性能は不可欠な要素だけに、後継機種では改良を望みたいです。

● 日本人好みの高性能情報家電

 MEDIAS TAB N-06DはiPadのようなタブレット端末とはあきらかにコンセプトが違います。iPadが王道のタブレット端末であるのに対して、MEDIAS TAB N-06Dは情報家電と呼ぶのがふさわしいです。

 MEDIAS TAB N-06Dはおサイフケータイやワンセグなど日本の生活に定着している機能やサービスをすべて網羅しています。そのため、日本国内で使うには使い勝手のよいです。日本でしか通用しないことを意味する「ガラパゴス」の機能を日本人が望む形に凝縮したのがMEDIAS TABです。iPadのように、新しい情報端末を切り開いていく存在ではなく、今の生活に足をおいた情報機器として開発されたと言えます。NECらしい無難で質実剛健な製品です。

 iPadを使っている人でも、この端末は手に入れたいと意欲をそそられます。

● NOTTVの印象と今後

 最後に、モニタの目的であるNOTTVについての感想も述べます。

 NOTTVは、スマートフォンやタブレット端末向けの新たな放送局です。Ustreamのようにネット 配信ではなく公共の電波を使って配信しています。回線が混雑してつながらずに見られないという心配はありません。なお、NOTTVは月額420円の有料放送です。

 NOTTVを試聴して驚いたのは映像が高画質で、目を見張りました。ワンセグよりも繊細な映像で、顔の表情もクックきりと映し出しています。特に、7インチ液晶画面で見る映像は迫力があり、MEDIAS TABの力量を発揮しています。実際、ワンセグの10倍の解像度をもっており、見ていて納得します。

 しかし、NOTTVは番組構成や事業展開のビジョンが練り上がっていないというのが率直な印象です。

 NOTTVはバラエティ、スポーツ、ニュースの3つを主な構成として放送しています。簡単に言えばスカパー!のミニチュア版といった内容です。バラエティではAKB48を前面に出してNOTTVを紹介する番組を勢力的に放送していますが、起用している司会の進行は手際がよくなく、番組内容も貧弱です。スポーツ中継ではゴルフやJリーグの試合を中継していますが、携帯端末だから見たいという気持ちにはなれません。最も実用的なのは24時間ニュースを配信しているTBSニュースバードくらいです。

 NOTTVは視聴者との双方向のやり取りを目指していますが、実際はtwitterやfacebookでの書き込みを促すだけで、視聴者に何かしてくれと言わんばかりの丸投げの状況です。書き込みを見ても、単なる放送予定のリツイートや乱暴な言葉での書き殴りなど、まったく双方向性を成していません。

 NOTTVは新しいテレビの形を練り上げず、既存のCS有料放送と同じ番組配信を提供しているだけのビジョンのない見切り発車で開局した感じがします。また、スマートフォンやタブレット端末で見るテレビ放送は、利用スタイルとの融合性が重要です。端末を携行し、ライフスタイルに合わせて気軽に見るのがこれまでにない新しいテレビの利用形態です。運営側は既存のテレビと同じ単なる独立したサービスの一環として扱っているように見受けられます。

 既存のテレビ事業運営を持ち込み、中途半端な双方向性を打ち出してもおそらく消費者は魅力を感じてはくれないでしょう。まして有料放送だけに、今後の事業展開は苦境が続くかもしれません。

 私にとって初めてのAndroid端末で、慣れない操作に手間取りながらもモニタ期間中いろいろ使い込んでみました。実際使ってみて、返却をするのが惜しいと心の片隅でつぶやくほど出来映えのよいタブレット端末でした。衝動買いしたくなりましたが、タッチパネルの操作性と受信感度、さらに今回は触れませんでしたがカメラの性能がもの足りず、購入は保留しました。次期製品で改良されれば本気で購入を検討したいと考えています。


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2012年4月28日発行 第333号

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