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コラム:会社に様付け、さん付けはNG

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 最近、公の場や大勢の人前での口頭発表や、ショップの宣伝、あるいは告知文書で、会社や組織に「さん」や「様」をつけているのが目立ちます。中には、「○○市様」と地名にまで様付けして声高に読み上げる奇妙な光景まで見かけます。言葉に出したり、書いている人はきっと丁寧な表現をしたつもりでしょうが、実際は慇懃無礼な振る舞いをしているのです、敬称は場をわきまえて適材適所に使わなければ失礼に当たります。

 今回のコラムは、会社名の後ろに「さん」や「様」をつけてはいけない場合と、大目に見てもらえる場合についてまとめ、先輩から後輩へ言葉遣いを教え、受け継ぐ大切さについて述べます。

● 「様」や「さん」は人につけるもの

 人様というように、敬称の「様」は人につけるものです。「さん」も基本的に同じです。組織や店舗、地名などに用いるのは不適切で、今も昔も変わりません。窓口で呼び出しをする際、担当者名が不明なとき会社名に様づけをする場合はありますが、発表会や式典、公文書、告知案内など、きちんとした話し言葉や書き言葉が求められるときは、人以外に「様」や「さん」をつけてはいけません。この点は必ずふまえておいてください。

● 寛容されるのは内輪での会話のみ

 では、人以外に「様」や「さん」をつけたら絶対いけないのかというと確かにその方が適切ですが、寛容に通ってしまう場合もあります。それは、内輪での会話です。たとえば、取引先との打ち合わせで「○○会社さんに打診してみます。」といったように、その中だけの会話で用いるときは親近感を込めた言い回しとして違和感なく受け取られ、大目に受け流してもらえます。とはいえ、相手によっては言葉遣いに厳しい人もいます。そのときは本来の使い方をするのが望ましいです。

 なお、重要な会議でのプレゼンテーションや講演、展示会や催し物での司会進行ではきちんとした言葉遣いが肝要です。本来の使い方ではない「○○会社様」は用いないよう心がけなければなりません。イベントや放送番組を注意して聞いているとわかりますが、ベテランの司会者やアナウンサーは不適切な敬称は絶対に使いません。

● 書き言葉ではNG

 人以外に「様」や「さん」をつけるのは書き言葉ではNGです。会話では聞き流せても、文面は人の目に触れるため受け流すことができません。ブログで紹介記事を書いたり、宣伝告知を載せる際は気をつけなければなりません。ネットショップの公式ブログや公式twitterの投稿では書き言葉に気を配るのが大切です。かしこまった文面ほど勘違いして使ってしまいがちですが、逆に使わないよう気をつけなければなりません。私的なブログでもネットで公開している以上、きちんとした書き言葉を用いるのが適切です。

● 場合分けが大事

 言葉遣いは、公私使い分けが大事です。内輪や友達同士で使う言葉を、公式的な場で使えば相手に違和感を与え、失礼な振る舞いとなるばかりか、自分自身の品格も問われるときがあります。様付けや、さん付けもそのひとつです。公私混同しないよう場をわきまえた言葉の使い分けを心がけるのが必要です。

● 自分本位の解釈で言葉は変化しない

 最近、自分の言葉遣いを自分本位に解釈して相手に伝えようとする風潮を感じます。そして、自分の言葉遣いを指摘されると「言葉は変化するものだ」と豪語し、その言葉のもつ本質的意味を棚上げして正当化しようとする人がいます。しかし、このような理屈は通用しません。言葉は確かに変化しますが、数年くらいで変化するほど単純ではありません。長い年月をかけて生活の中に浸透し、誰からも違和感なく受け入れられたとき、はじめて言葉が変わったと認知されます。言葉の誤用と変化はまったくの別物です。自分本位な解釈の言葉遣いがまかり通ってしまえば言葉の乱れが広まり、意思疎通のかみあわないコミュニケーションが蔓延するだけです。だからこそ、言葉遣いを指摘されたときはそれを真摯に受け止め、是正していくことは大切です。

● 言葉遣いを受け継ぐ機会を

 以前コラムで「させていただきます」の乱用について取りあげました。今回の様付け、さん付けもそうですが、親や上司、あるいは先輩から言葉遣いを注意されたり指摘される機会が日常生活で薄れているのではないかと感じます。適切な言葉遣いを心がけることは、相手への思いやりや敬意の大切さを教えるだけでなく、日本語や日本文化の継承にもつながります。年長者が後輩にきちんとした言葉遣いを伝えていくのは、生まれ育った国の文化を後世に伝える責務でもあります。見て見ぬふりをするのではなく、憎まれ役になってでも教えていく努力は必要です。

 言葉は相手に伝えるためにあります。言葉を大切にすることは相手を大切に思う意思表示につながります。言葉を大切にする人は、自ずと人を大切にします。様付け、さん付けは相手を指すときに使う大事な言葉です。それだけに、適材適所をわきまえて使うようにしたいものです。

 追記:相手に好感を与えるきれいな日本語を解説した本があります。日常会話やメールでの応対に役立ちます。


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2011年10月7日発行 第326号


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