
特集:モバイルルーター入門iPadの登場で脚光を浴びはじめたモバイルルーター。バッテリーで駆動し、外出先で複数の携帯端末を同時にインターネットへ接続できるのが一番の魅力です。アップルの多機能携帯端末iPadも、国内ではソフトバンク以外の通信回線を利用することができませんが、モバイルルーターを使えばドコモの回線を使えるようになるので、外出先での利用範囲が広がります。iPadの発売をきっかけにモバイルルーターの新規参入が相次いでおり、ますます販売競争が激しくなるでしょう。 今回は、モバイルルーターとはどんなものか、そしてどんな種類があるのか注意点も含めて特集します。
● モバイルルーターとは モバイルルーターとは携帯電話で用いられている3G通信回線(3G回線)を使ってインターネットに接続する小型軽量の無線中継機器です。自宅でADSLや光ファイバーでインターネットを利用する際に設置するルーターという四角い機器と動作は同じで、USBケーブルやLAN ケーブルを使わず、バッテリー駆動で持ち運べるように作られています。ただし、携帯電話のデータ通信回線網を使うため、宅内の無線LANと比べて通信速度は劣ります。 モバイルルーターは、無線LANを搭載した機器を3〜6台まで同時に接続できます。特定の機器以外は利用できないといった制約はないので、無線LAN内蔵のノートパソコンやスマートフォン、ゲーム機など接続できる端末を選びません。また、回線契約も、端末ごとに個別契約する必要もありません。 今のところ、モバイルルータの利用できるエリアは大都市部や観光地が主ですが、路上だけでなく、駅構内、地下街でもおおむね利用できます。利用エリアも逐次拡大しており、携帯電話並みにモバイルインターネットが利用できる日も遠からず訪れます。
● どんな種類があるか モバイルルーターには大きく分けて次のような種類があります。
1. 独自の回線を使用するタイプ ルーター本体と独自の通信回線をいっしょに提供するもので、今後さらなる新規参入が見込まれます。代表的なものとして、イーモバイルのポケットWiFiがあります。
2. SIMカードを差し込んで使用するタイプ 携帯電話会社から供給される回線情報を記録したチップ(SIMカード)を自分で差し込んで使います。モバイルルーターで使用できるSIMカードは、特定の回線会社に限定されないSIMフリー方式を採用しているので、ドコモやソフトバンクなど自分の環境にあわせた電話会社のSIMカードを利用できます。ただし、モバイルルーター用のSIMカードは一般の携帯電話に内蔵するものより小さいマイクロSIMと呼ばれる規格サイズのため、携帯電話のSIMカードと差し替えての使用はできません。データ通信用のSIMカードを新規契約する必要があります。 利用エリアの広いドコモの回線を使いたい人には、バッファローのポータブルWi-Fiや日本通信のb-mobileがおすすめです。
b-mobile WiFi 日本通信 データ通信を利用する際は、データ定額制サービスを契約して費用をできるだけ抑えるのが得策です。また、利用の際には別途プロバイダに加入する必要があります。たとえば、ドコモであればmopera Uなどです。加入せずにデータ通信を利用するとパケット定額制が適用されず、従量課金により高額な通信料を請求されますのでご注意ください。 ポケットWi-Fi, b-mobile WiFi, ポータブルWi-Fiの性能については下記のページに詳しく解説されています。 3. ルーターレンタルサービスNTT東日本のフレッツ光サービス加入者を対象に、月額315円でモバイルルーターをレンタルできるサービスです。レンタルしたルーターは、自宅ではフレッツ回線を介した無線LANルータとして、外に持ち出したときは3G回線によるルーターとして使用できます。なお、3G回線料が別途かかります。 レンタルできるルーターは、ドコモ専用のSIMロック型と回線会社を自由に選べるSIMフリー型の2種類があり、バッファローのポータブルWiFiと同じ機器が貸与されます。詳しくは下記のページをご覧ください。
4. 携帯電話本体がルーターになるタイプ ドコモの携帯電話には、携帯電話自体をモバイルルーターにするアクセスポイントモードという機能を備えた機種があります。この機種を使えば新たにモバイルルーターを持ち歩く必要がないので、携行する持ち物を減らせます。アクセスポイントモードを使用してネット接続をしているときは通話したりiモードメールを受信することはできませんが、短時間のネット接続であれば支障はないでしょう。アクセスポイントモード搭載の機種は今のところPRIMEシリーズしかなく、価格も6万前後と高価です。予算の捻出に思い切った決断が必要ですので、携帯電話を買い換える際に検討するのがよいでしょう。 アクセスポイントモードの説明、ならびに対応機種についてはNTTドコモの案内ページに詳しく掲載されています。 アクセスポイントモードを利用する際は必ずmopera Uとパケット定額プランの両方を忘れずに契約してください。どちらの契約もせずに利用するとパケット定額制の上限額適用が受けられず従量課金となり、高額な利用料金を請求される場合があります。また、外部端末とアクセスポイントモードを利用したパケット定額料金の上限額は、携帯電話本体で利用した場合よりも高額です(料金表参照)。ネットサーフィンやファイルのダウンロードを頻繁に利用する人には不向きです。
● WiMAX対応のモバイルルーター WiMAXは上記のモバイルルーターよりも高速でモバイルインターネットを利用できる新しい通信方式で、精力的に普及が進められています。WiMAXを使えば従来では困難であった高画質の動画配信を外出先でも楽しむことができます。WiMAX対応のモバイルルーターはシンセイコーポレーションとNECアクセステクニカからそれぞれ発売されており、家電量販店などで購入できます。
AtermWM3300R NECアクセステクニカ
● 導入の際の注意点 モバイルルーターは費用や実際の使い勝手との間で思い違いをしている場合があります。導入の際は次の点に注意してください。
▽ 料金プランと契約期間の確認は忘れずに データ通信のための回線利用料はプランによりさまざまです。入念に確認してから決めないと思わぬ出費を強いられます。特に、月額費用が安いプランでは契約期間を1年または2年継続することが義務づけられており、途中で解約したいときは規定の違約金を支払わなければなりません。プリペイドプランも課金をした日から一定期間内にパケット量を使い切らなければ、たとえ残量があっても繰り越すことができず無駄な出費に終わります。さらに、定期的にプリペイド課金をしなければ自動的に解約されてしまいます。
▽ 期待通りの回線速度が出ない場合がある モバイルルーターは携帯電話と同じ3G回線を使用しています。鉄筋のオフィスビルや地下街など基地局からの電波が届きにくい場所では通信速度は遅く、場合によっては接続できないときもあります。また、時間帯によっては同時接続者が多いために回線が混雑して満足のいく通信速度が得られないときもあります。「こんなはずでは」と実際使ってみないとわからない状況があることをあらかじめ踏まえておく必要があります。
▽ バッテリー管理を怠らずに モバイルルーターも携帯電話と同じでバッテリーが切れればただのお荷物です。内蔵バッテリーは連続使用で4〜6時間くらいのものが多く、WiMAX対応の機器ではわずか2.5〜3.5時間しかもちません。帰宅したら充電をする習慣を身につけるようにしましょう。数日にわたる出張の際は充電器をもっていくのを忘れないようにしなければなりません。外出先で使用しながら、日頃どのくらいネット接続するか感覚をつかみつつ、バッテリー管理を心がけるのが賢明です。
▽ 公衆無線LANサービスも視野に入れた検討を 外出先でのネット利用はモバイルルーターがなければ使えないわけではありません。もし、飲食店や駅構内、空港ロビーを中心に利用するのであればHOTSPOTやFREESPOTなどの公衆無線LANサービスを使う方が便利です。公衆無線LANサービスは自宅やオフィスの無線LANと同じ回線品質で、モバイルルーターよりも高速でネットを使えます。出先で頻繁にデータ通信をする機会が少なく、公共施設など特定の場所で利用するのであればモバイルルーターは費用対効果が見合いません。公衆無線LANのほうが経費は安上がりです。 モバイルルーターがあれば、仕事やプライベートでのネット活用を広げられる頼もしい機器です。しかし、モバイルルーターは馴染みのない言葉が多いため、購入前は戸惑うことがいろいろあります。急がずあせらず、じっくり検討して自分にあった機種とプランを選ぶのが一番です。
2010年7月20日発行 第310号
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