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教えて先輩:IPアドレスだけで住所や電話番号ってわかるの?

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 掲示板、SNS、チャット、ネットゲームなどで、もめ事やけんかといったトラブルに発展したとき、唐突に「お前のIPアドレスを突き止めたから住所や電話番号を調べて今から会いに行く」と言われ、身に危険が及ぶような不安を抱く出来事が増加しています。当事者でなくても、このような物言いをされれば多かれ少なかれ戸惑いを隠せません。インターネットの技術に詳しければただの脅しと簡単に受け流せますが、ほとんどの人は精神的にまいってしまいます。

 今回は、IPアドレスから接続者の住所や電話番号は本当にわかるのか、最近の技術的な話も含めて取りあげます。

 不安を抱かないよう先に結論を書いておきます。

「IPアドレスを知っただけで接続者の正確な住所や電話番号を突き止めることはできません。相手を脅すためのでっちあげです。」

● IPアドレスとは?

 IPアドレスとはインターネットにつないだパソコンなどの端末につけられる固有の識別番号で、コールサインのようなものです。IPアドレスは同じものは存在せず、全世界にひとつしかありません。通常、IPアドレスはネットにつなぐと自動的につくので、特に意識する必要はありません。

 参考までに、あなたの端末のアドレスは次の通りです。

    54.234.190.237
    ec2-54-234-190-237.compute-1.amazonaws.com
 数字だけのものがIPアドレスでその下に表示されているのがドメイン名です。IPとドメインは一義的に対応しています。IPアドレスについて詳しくは以下のバックナンバーをご覧ください。

● プロバイダに問い合わせないとIPアドレスから住所や電話番号は突き止められない

 接続者のIPアドレスを知り得ても、これを元に住所や電話番号を割り出すことができるのは接続者が契約しているプロバイダのみです。なぜならIPアドレスだけでは詳細な個人情報と結びつける手がかりはネット上のどこにもないからです。プロバイダは電気通信事業法やプロバイダ責任法に基づき、裁判所からの開示命令がない限り接続者の個人情報の照会に一切応じてくれません。つまり、公的な手続きを経ない限りIPアドレスから接続者の住所や電話番号を知ることはできないのです。

 「我々には独自に開発した住所探索システムがある」、「情報機関の個人情報データベースから住所を割り出す」など、あたかも特殊な手段をもち備えていることをほのめかしてきても単なる脅しに過ぎず真に受ける必要はありません。テレビドラマや映画でいとも簡単に特定の人物を検索して顔写真や住所を表示するシーンがありますが、あれは臨場感を引き立てるための演出です。映画のようなことが本当にできたらそれこそ世界中で大騒ぎになっています。

● 技術の進歩でおおまかな地域までは特定可能

 IT技術の進歩により、現在ではIPアドレスから接続者のおおざっぱな地域を割り出す程度はできます。具体的には、国名や都市名、地域のほか、緯度・経度も知ることができるのです。IPアドレスを元に実際に接続場所を調べてみましょう。こちら側でアクセス記録はしていませんのでご安心ください。

    ネットワークに接続されていないか JavaScript が有効ではありません
    国名コード:--
    国名:--
    地域名(都道府県名):--
    都市名(市区町村名):--
    緯度:--
    経度:--
 さて、表示された地域は当たっていますか?都道府県までは正しくても、市区町村は間違っている場合が多く、かなり精度は低いです。

 この手法は、GoogleのAPIを利用することで誰でも扱えます。詳しい技術情報は以下のサイトを参考にしてください。

 このシステムは、IPアドレスの公開情報を元に位置情報のデータベースを独自に構築して、接続者のおおまかな地域を割り出すというものです。しかし、実際は利用者側ではなくプロバイダがインターネットへつなぐための機器を設置している住所がデータベースに登録されているため、自宅とは異なる場所を表示してしまうのです。したがって、都道府県までは特定できても市区町村までは正確に割り出すことは不可能で、番地やマンション名などは論外です。

 こうした接続者の地域を割り出すシステムは、地域別のアクセス解析やサイマルラジオサービスといった特定の地域に限定したサービスを提供する際に利用されています。探偵のような住所を割り出すサービスは技術上無理です。

● まとめ

 IPアドレスから自分の居場所を割り出せると聞かされれば誰しも不安になります。そんなことが実際に可能なのか、あらためてまとめます。

  1. IPアドレスから住所や電話番号を直接知り得ることはできない。
  2. IPアドレスから接続者の個人情報を知ることができるのは接続者の利用しているプロバイダのみ。
  3. 裁判所からの正式な手続きがない限り、プロバイダは個人情報の開示には応じない。
  4. IPアドレスからおおまかな接続者の地域は調べられるが、信頼性があるのはせいぜい都道府県程度。

 あたかも個人情報を入手したかのような脅しを受けても動揺しなくて大丈夫です。はったりやでたらめと思って相手にしないのが賢明です。


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2010年6月23日発行 第309号


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