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特集:メーリングリストがすたれないこれだけの理由

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 メーリングリストがビジネスとして成長してから10年以上が経過し、今なお地味ながらもサービスは発展し続けています。ベテランの人には古くからMLとして親しまれ、若者の間ではメーリスの相性で定着しているメーリングリスト。300号の記念すべき特集は、メーリングリストがなぜすたれないのか、その良さを洗いざらい掘り出していきます。

メーリングリストの仕組みについては下記をご覧ください。

<ユーザーの視点から見たメーリングリストの魅力>

● 電子メールという身近なツールで利用できる

 メーリングリストは電子メールを応用したシステムだけに、日常メールを扱う要領で利用できます。メーリングリストを利用する際、自分自身でサービスの入会や登録・脱退のための手続きを覚えることはありますが、それ以外は特別な知識を必要としません。

● パソコン、携帯、PDAなど端末やソフトにとらわれない

 メーリングリストがウェブベースのコミュニティに比べて圧倒的に扱いやすい点は、端末や特定のソフトに依存しない利便性です。メールの送受信ができる端末であればメーリングリストを利用できるので、使い慣れている端末や、メールソフトをそのまま使えます。一方、ウェブの場合たとえばSNSの中にはセキュリティ保持のために特定のブラウザを使わないとログインできないサービスもあります。そのため、端末やソフトウェアに束縛されます。使い慣れたハードウェアとソフトウェアで活用しできるのはメーリングリストが長寿でいられる大きな要因なのです。

● ウェブアクセスの煩雑や利用時のストレスがない

 ウェブベースのコミュニティサイトは、情報を得たりメッセージを閲覧するにはその都度サイトにアクセスしなければなりません。しかも、ウェブ技術を駆使した最新のシステムが構築されたサーバーでは処理に負担がかかり、「遅い」、「重い」、「面倒」といったストレスを覚えます。たとえ高機能でもストレスや煩雑さを感じるようになるとアクセスそのものもおっくうになるのがウェブによるコミュニティのもつジレンマです。メールによるコミュニケーションでは電子メールソフトにこうした負担はかからず、軽快な動作でやりとりに専念できる点が強みです。メーリングリストを長く続けられる理由はストレスのない情報交換を意識することなくできるところにあります。

● 常に連絡が取れる高い実用性

 メールを基本としたコミュニケーションは受け身で情報のやりとりができます。メールは常に送られてくるので自分から行動を起こさなくても連絡や案内が届き、ほしい情報を得ることができます。ウェブの場合は能動的な情報のやりとりで、何か情報を得るには自らサイトにアクセスしなければなりません。そのため、せっかく知り合いができても相手が特定のサイトにアクセスしなくなれば音沙汰がわからなくなり、せっかくの絆が途絶えてしまいます。メールはどんな状況でも相手へ一方的にメッセージを伝えられる唯一の手段です。それを複数の人に送れるメーリングリストの高い実用性は他のツールにはない大きな利点なのです。

● 質の高い議論や情報交換のできる優位性

 メーリングリストはメッセージを作成する上で何気ない快適さを維持できる環境をさりげなくもち備えています。メールはソフトの使い方さえ覚えればあとは本文作成に専念できます。また、メールでメッセージを入力する際はワープロと同じで広い作業スペースを作ることができるので、内容を吟味して本文作成できます。一方、ウェブの場合はサイトごとに操作方法や処理項目がどこにあるのかを把握しなければならず統一性がありません。しかも、メッセージの書き込み欄が固定幅のため、狭いスペースで作業をしなければなりません。メールを主体としたコミュニケーションが常に質の高いやりとりを実現できるのはこうした作業環境の良さにあります。

● いざとなったら個人でメーリングリストを立ち上げられる

 メーリングリストは管理ソフトがフリーウェアで配布されており、比較的導入が容易なのでメールサーバーさえあれば個人でも手軽に構築できます。SNSなどもフリーで入手できますがそれなりに作業がかかり規模も大きくなります。研究室や小規模オフィスでの連絡手段となるとさほど大がかりなシステムは不要です。メールサーバーさえあれば一斉 連絡用としてメーリングリストは大いに力を発揮します。手軽さと導入のしやすさもメーリングリストが長く活用され続ける一因です。

<ビジネス面から見たメーリングリスト事業の長所>

● 有料サービスが確立されている

 メーリングリスト事業の大きな特徴に、配送メールに広告が入る無料サービスと、広告の入らない有料サービスの明確な収益形態が定着しています。メールに広告が入らないわずらわしさは需要が多く、有料サービスとしての事業基盤も確立しています。ブログサービスでは有料オプションでアフィリエイトの利用許可をしたり、SNSではアバターのアイテムを有料販売する手法がありますが、ごく一部の利用者に限られています。ネット事業において、無料サービスに陥りやすい広告収入の減少から存続に影響を及ぼすリスクが低いのもメーリングリスト事業の大きな特徴です。

● 事業の立ち上げが容易

 メーリングリストはメールサーバーと管理ソフトがあれば運用ができます。Majordomo, fml, Mailmanといったフリーのシステムを導入すればあとは独自に手を加えるだけで最低限のサービスを提供できます。現在はこれだけで採算のとれる事業にはなりませんが、主事業とは別に機能の追加や付加サービスとして立ち上げるにはウェブベースのサービスよりも比較的容易です。

● ブログやSNSほどシステムが複雑ではない

 ブログやSNSでは一度に多くの人がログインして作業をするため、サーバーの負荷分散や分散処理など複雑なシステム構成が要求されます。freemlYahoo!グループのような場合はこれに準じますが、そこまでの規模をもたない事業であれば複雑な分散システムを構築しなくても運用ができます。

● 設備維持が比較的容易

 メーリングリストはウェブサービスと比べれば規模もシステムも安上がりですみます。高負荷のかかる利用がされなければ運営管理も穏やかにすみます。メール配送だけの単純なメーリングリストの提供であれば、超高性能のハードウェアを何台も導入するといった大がかりな設備投資と維持は必要ありません。既存サービスの一環であれば設備や運営体制も少ない負担で運用できます。

● 競争による事業者の淘汰が飽和

 パソコンを使ったメーリングリストを中核ビジネスとした事業会社はすでに競争が一定の段階に達しており、成熟状態に入っています。そのため、同業者の淘汰によるサービスの終了は少なくなってきています。現存するサービス会社は比較的事業が安定期に入っており、収益に採算がとれていれば事業が継続され続けています。経済情勢による事業撤退は今なお続いていますが、その規模はさほど大きくないと言えます。ベンチャー企業から大手プロバイダのオプションサービスに至るまでメーリングリストはどこかで提供されるようになり、着実に定番化したのもその表れです。

<電子メールがなくならない限りメーリングリストは不滅>

 メーリングリストは電子メールを発展・応用させたシステムであるだけに、電子メールがなくならない限りメーリングリストもなくなることはないでしょう。メーリングリストは一対一でのメールではできないことを補完してくれます。複数の人への一斉連絡に留まらず、登録者同士でのスケジュール共有や出欠確認、アンケートなど連絡手段に役立つ機能がどんどん盛り込まれていくようになりました。さらに携帯メールの普及と共に携帯専用のメーリングリストも急成長しています。不特定多数の人を集めたコミュニケーションとしてのメーリングリストは薄れてきましたが、仲間内の連絡手段としてのメーリングリストは需要が増しています。用途は変わりつつも、メールの有用性とともにメーリングリストは今後も進化していくのは間違いありません。それゆえにメーリングリストは不滅であり、今後も身近な存在として利用されていくでしょう。


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