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教えて先輩:ネットに殺人予告を書き込むとどうして本人が特定できるの?

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 秋葉原の連続通り魔殺人事件以降、ネット上に殺人予告を書き込むケースが増加しています。その動機がいたずらやうさ晴らし、中には警察への挑発など罪悪感のかけらすらありません。書き込んだ本人は、「匿名で書いているのだから捕まらないと思った」と行為の後先すらもわからないありさまです。

 掲示板やブログは匿名で書き込みできるのだから自分を特定できるはずがないと甘い考えをもつ人が多くなりました。しかし、ネットでは書き込みに対して痕跡が残るようになっています。では、どうして書き込んだ人が特定できるのでしょうか?今回はその概略を書き綴っていきます。

● インターネットを利用するコンピュータには固有のアドレス情報がある

 ここ最近急増している悪質な書き込みをする人は、コンピュータに固有のアドレス情報があるのを知りません。コンピュータがインターネットに接続していると、そのコンピュータには接続を識別するためのアドレスがつけられています。これをIPアドレス、略してIPといいます。IPアドレスは数字の羅列で構成されていますが、ドメイン名の時もあり両者は一義的に対応しています。

    例:
     123.45. 678.90
     xxxx.yy.abc-net.ne.jp
 IPアドレスは公的な機関によって管理され、プロバイダや企業などに与えられています、IPアドレスの所有先はネット上で公開されているので、どこに所属しているコンピュータなのかは誰でも調べられます。なお、IPアドレスの偽造はできません。

 参考までに、あなたのコンピュータのIPアドレスは次の通りです。

    54.146.195.24
    ec2-54-146-195-24.compute-1.amazonaws.com
 IPアドレスからわかるのは、接続先のプロバイダ名あるいは企業名です。個人の氏名や住所はこれだけではわかりません。ただし、ドメイン名で記録されていると、そのドメインの記述から最寄りのアクセスポイントの地名が明記されている場合があり、大まかな地域は特定できます。

● 企業が運営しているサービスや大規模サイトではIPアドレスが記録される

 企業が運営するブログや掲示板サービスでは、書き込み時にIPアドレスが自動的にどこかに記録されます。この情報は人目に触れるところに記載される場合もあれば、サービス会社の管理ログに記録される場合などさまざまです。匿名掲示板で名高い2ちゃんねるも書き込みをしたときはIPアドレスの記録がされています。したがって、匿名であっても書き込みをすれば足跡を残しているのです。

● IPアドレスがわかれば本人特定の糸口がつかめる

 厳密には逃れてしまう例もありますが、IPアドレスが記録されている以上、悪質な書き込みをすれば自分の所在をいくら隠しても捜査の手が伸び、いずれ摘発されます。日本国内での犯行であればまず捕まると思ってください。捜査をする側はサイバー犯罪のプロであり技術力もあります。容赦はしないというのを忘れてはいけません。ネットでは自分には見えない技術的な情報がどこかで記録されています。警察がこれを突き止めたら本気で対処してきます。逃げられるほど甘く考えてはいけません。

● 殺人予告を書き込むと警察はどう動くか

 掲示板などに殺人予告を書き込むと、それを見つけた管理者や閲覧者は警察に通報します。通報を受けた警察はその書き込みを確認し、摘発の対象と判断した場合は書き込み先のサイトの管理者またはサービス会社へ連絡を取ります。そして警察は正式な公的手続きを経て書き込んだ人の接続先情報の開示を依頼します。開示された接続情報を元に書き込んだ人が使用したプロバイダを割り出し、そのプロバイダへ捜査協力を依頼して接続先の個人情報を開示してもらいます。プロバイダの個人情報は契約時に公共料金の支払い等の書類を提出するため、住所を偽ることができません。したがって、プロバイダからの情報を受け取り、本人を特定でき次第、裁判所へ逮捕状を請求し逮捕へと踏み切ります。

● 殺人予告はどのような罪になるのか?

 ほとんどの場合、偽計業務妨害または威力業務妨害罪として摘発されます。偽計と威力の違いは法律の素人にとっては区別するのは難しいですが、いずれも刑法の業務妨害罪だと思ってください。書類送検され、裁判で有罪判決が下されれば前科がつきます。軽率な行動が人生に傷をつける愚かな結末につながります。

    「小女子焼き殺す」ネットに殺害予告 23歳無職男を逮捕 埼玉
    裁判で被告は、懲役1年6月、保護観察付き執行猶予3年(求刑懲役1年6月)の有罪判決を言い渡されました。

 さらに、相手側に損害を負わせた場合には損害賠償も支払わなければなりません。同様の事件を防ぐためにも、今後は損害賠償請求が厳しく追求されていくでしょう。自分の浅はかな行為の代償は大きいものと自覚しなければなりません。

● 学生は無期停学を免れない

 高校生や大学生がこのような犯行をすれば、学生生活にも支障をきたします。警察沙汰になりますので、学校側からの懲罰を免れることはできません。無期停学ですむどころか、退学処分も覚悟しなければならないでしょう。おもしろ半分や軽い冗談ではすまされない行為になるのだと自覚しなければなりません。

● 警察を甘く見ないこと

 最近、マスメディアの影響も受けてか警察を甘く見る風潮があります。しかし、犯行があまりにも典型で幼稚なものほどいともあっさり捕まります。警察はそれほど甘くはありません。逮捕されればたっぷり事情聴取され、お灸を据えられます。穏便に済むと思ったら大きなしっぺ返しを受けます。逮捕された後、事件が新聞沙汰になれば身近な友人、知人を失うばかりでなく、社会的にも制裁を受けます。失うだけで得になるものはひとつもありません。

 警察は、書き込みから半月以内に補導・逮捕まで踏み切ります。絶対に甘く見ないでください。

 夏休みが近くなり、学生は個人でネットを利用する時間も増えるでしょう。しかし、絶対に他人の迷惑になるような言動・行動は慎むよう十分注意してネットを活用してください。


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2008年7月23日発行 第286号


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