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コラム:匿名という名の暴力(最終回)


 匿名が引き起こす暴力を考えるコラム、最終回は、他人に対して匿名であればこそ何を気をつけるべきか、そして社会全体としてどうあるべきかまとめてみます。

○ インターネットを腹いせの場にすべからず

 インターネットは自分中心に作られた世界でも、自分の身内だけの集まる場所でもありません。インターネットはそんな狭い世界ではないのです。たとえ実生活において自分が望みたくない不愉快な体験をしても、それをインターネットに持ち込むことは言ってみれば人混みの中でなりふりかまわず大暴れするのと同じなのです。ネットで相談をしたり悩みを打ち明けるのならわかります。しかし、気に入らない人を陥れたり、恨みを晴らすような行動をすればたとえ自分に非のないことでも品位を疑われます。

○ 卑怯という羞恥心を自覚せよ

 自分を隠してこそこそする心に恥を知らず、正々堂々と向き合わない姿勢に卑怯を覚えない、これではいけないのです。私は、こうした自分を隠すことが何でもまかり通り悪いことをしてもとがめられず罪悪感すら失われつつある最近の社会風潮を危惧しています。卑怯者のそしりを受けることは人として恥であることを忘れてはなりません。

○ 訴訟手続きの簡素化とネット上の法整備の促進

 匿名による誹謗中傷は、表に見えない形で被害者が増えるばかりです。名誉毀損や人権侵害など最終的には法的に解決できるような道筋を作らなければ「やったもの勝ち」です。相手を告訴したくてもどのようにしてよいかわからない人が多く、また手続きも大変です。簡易的にネット上のトラブルを法的手段に訴えられるための機関と法整備が重要といえます。

○ 匿名でも個人が特定できる仕組みに

 技術的には不可能になりますが、運営である程度それを補うのは必要といえます。つまり、たとえ匿名でも運営上問題であれば接続元の情報を公開するなど被害者の立場を考えた配慮を義務づける法整備も重要と考えます。個人情報の保護とも関係してきますが、匿名であっても所在まで隠すことは認めてはいけないのです。被害者が泣き寝入りをするのではなく、加害者の無責任さを断罪しなければならないのです。掲示板やメーリングリストなどコミュニティ運営としての管理責任の義務化も今後は法律で定めなければならないのではないでしょうか。

 3回にわたる長編コラムとなりました。まさかこんなに長く書くとは思ってもいませんでした。ネット社会に蔓延する匿名の被害は取り締まっていかなければいけないと言わざるを得ません。自己責任を要求されるネット社会、そのためには厳しい制裁も作り上げなければならないと主張します。


2006年 3月28日発行 第258号

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