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特集:ダビングしての一言が怒られる本当の理由


 音楽CDやDVD、あるいは録画ビデオなど、聴いてみたいときや見逃してしまったとき誰かにダビングしてもらえたらうれしいと誰しも思うはず。身内の友人同士で「ダビングして」と頼むとあっさり望みがかなってしまい、同じ気持ちでメーリングリストや掲示板に「ダビングしてください。」と書いたら怒号と叱責の嵐が…。本当は著作権との関係でむやみにしてはいけないことに気がつけばよいのですが、知らない人の方が多いのも現状です。
 ところで、「ダビングしてください」の一言が発せられるとそれを書いた人がとがめられますが、多くの人は「ダビングしてほしい」と書くことが「著作権違反」と受け取っています。ところが意外な勘違いがここにあります。今回の特集は、面識のない人たちが集まっているメーリングリストや掲示板に書き込まれた「ダビングしてほしい」の一言が問題となる本当の理由について取り上げます。

○ 市販ソフトのダビングの依頼は禁止行為

 メーリングリストに限らず掲示板で「CDをダビングしてください」と書くのは禁句です。理由はこれから説明しますが、とにかくこの点だけはしっかりふまえておいてください。身の回りで当たり前のようにしているから問題ないと思っている方も少なくありませんが、実際はそうではないことを念頭に入れておいてください。

○ 著作権と無断複製

 簡単に言えば、人が作ったものには著作権があり、それを法文化して権利を保障したのが著作権法です。著作権法では、人が作ったもの(著作物)を他人が無断で複製使用してはいけないと明記されています。勝手に人のものをコピーして販売したら著作権侵害になります。いわゆる「不正コピー」です。ただし、個人で使用する場合のみ複製行為は許されます。たとえば、自分で購入した音楽CDをMDにダビングして通勤電車の中で利用するのは個人で使用する典型例です。著作物をコピーしても許される範囲には制限があり、それをこえてしまうと問題になります。

 ここで一つ重要なポイントがあります。問題となるのは「無断複製をする行為」である点を覚えておいてください。

○ 「ダビングしてほしい」の一言は法律違反?

 「ダビングしてほしい」と言った瞬間にその人は法律を犯したと受け取っている人がいるかもしれません。ここが勘違いとなっている点です。この時点では複製行為は行われていませんので、誰も法的な問題にはなっていないのです。したがって、「ダビングしてください」と書いた人に対して「あなたの行為は著作権法違反だ!」と叱責することはできないのです。

○ 問題となるのは無断複製して渡した人

 法的に問題となるのは著作物の無断複製行為であり、それをした人になります。最初にダビングしてくださいと書いた人は法的には責められません。「ダビングして」という言動そのものは法的に問題にはなっていないのです。

○ 「ダビングしてください」がいけない本当の理由

 「ダビングしてほしい」の一言が引き起こす問題は、それを書いた行為ではなくその呼びかけに応じて他の誰かが無断複製してしまい、法的に問われる行為を招いてしまうところにあります。いいかえると、ダビングしてほしいの一言は、自分は手を汚さずに目的を果たし、その手助けをした人に罪を負わせてしまうのです。他の人からの善意(本当はいけないのですが)を、恩を仇で返す形になるだけに、「ダビングしてほしい」は禁句となるのです。

○ 書いた人の問責

 「ダビングしてほしい」と書くのは法的には責められなくてもモラルとしては問われます。ですから、「悪いことをしていない」と開き直られては困ります。書いた人の行為は、罪もない人に罪を負わせる引き金になるのです。そして、何よりも市販の商品を対価を支払わず無断で複製して手に入れようとする行為に罪意識をもたなければなりません。メーリングリストでそのような行為をすれば、雰囲気を壊して他の参加者に不愉快な思いをさせてしまう現状もしっかり認識すべきです。安易な一言が大きな波紋をもたらす代表的なケースが「ダビングしてください」であることをしっかりふまえるようにしてもらいたいのです。

○ ダビングが大丈夫な場合も忘れずに

 「ダビングしてください」を見つけた瞬間、これ見よがしと罵倒する人がいますが、その人が権利を有するものなら許される点を忘れずに。たとえば、その人自らが作曲した音楽のマスターテープなどです。インターネットで「ダビング」と見ただけで目の色変える人にはならないように。冷静な対応を心がけましょう。

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