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特別企画:Huis Vita Nova
〜ふれあいのコミュニケーション〜

第4話:思いやりは肌で感じてわかるもの

 「思いやり」。近頃特に忘れていませんか?人に親切にする気持ちや気づかう優しさ。マスコミでもよく取り上げられていますが、実生活では本当にこの大切な思いやりが欠けつつあるのは私の気のせいでしょうか?

 お互い顔を合わせても言葉が通じないことばかりが続く生活。行き違いや勘違いは日常茶飯事。それでも意思を通じ合うための仲立ちをしてくれるのが思いやりではないかと考えるようになりました。
 つい先日の出来事ですが、不運にも通勤で使う自転車がパンクしてしまいました。修理するにも自転車屋が見つからず仲間に相談したところ、簡単だから修理してやると率先して助けてくれました。ところが完全修理が必要となり、すぐさま自転車屋へ行こうと連れて行ってくれました。ところが修理に一日かかると言われ一晩預けることに。すると今度は仲間が共用の自転車を貸してやるから使えよといつのまにかたくさんの人が声をかけてくれるのです。日本では簡単に自分で解決できても海外となればやり方も交渉の仕方もまったく違うし、言葉で的確に表現できない。そうした中、同じ仲間が気さくに声をかけて助けてくれたとき、親切さが身にしみて重く感じました。それからも、ささいなことで困ったときも融通を利かして対処してくれたり、最後まで付き添ってくれたりと、何気なしに人に親切にしてくれるのです。人に対する思いやり、言葉が通じないからこそ、いつも以上にうれしく感じるばかりでした。オランダの人ってどちらかというと穏やかな性格の人が多いようです。

 ふと日本にいたとき、人が困っているのを見て声をかける光景ってどれほどあったろうかと思うときがあります。同僚が困っていても冷淡な態度をとりながら陰で笑っていたり、中には仲間内で悪口のよいネタに使ったり、無視したりするのが別段何も感じないようになりつつあるような気がしてなりません。その背景には、日本国内の深刻な経済不況による窮屈な状況で気持ちの余裕がなくなってきているところが大きいのかもしれません。今私はEU諸国の中にいますが経済状況は同じで、まして来年からユーロ通貨の導入でさまざまな面でばたばたしています。そんな中でも人に親切にする「純粋」な気持ちは身近な生活にごく普通に表れています。大陸と島国の人々の気持ちの寛容さが大きく表れているのかもしれませんが、やはり「人の心の痛みがわかる人」にお互いなっていくようにしていきたいと願っています。日本人の失いかけているのはこうした「優しさがこもった気持ち」なのではないでしょうか。

 さて、インターネットコミュニケーションでもこうした思いやりは大切です。メーリングリストでは言葉は同じでも顔が見えないだけにどんな人がいるのかわかりません。だからこそ、相手に親切にするのは相手にとってとてもうれしく、そして心温まる光景になるのです。わからないで悩んでいるところに必死の思いで尋ねたとき、親切に答えてくれたときの感謝の気持ちはおのずとわいてきます。見知らぬ人から親切にされたときほどうれしいことはありません。今まで悩んでいた問題が解決できたのは見ず知らずの親切な人のおかげ。その人がいなければずっと悩み続けていたでしょう。そう思うと人への思いやりはとても大切だと肌で感じます。
 しかし、残念なことにこうした思いやりを軽んじる人も少なくありません。というよりも、人との対話の少ない人ほどこうした「心の痛み」を理解せず、平然と不愉快にさせる言動を口にします。罵声を飛ばしたり、揚げ足取りをしたり、たらい回すような扱いをしたり、具体的に言ったらきりがないでしょう。ネットワークコミュニケーションではこうした冷たい光景を多く目にしてしまうことが多く、幅を利かせてしまいがちです。メーリングリストのようにメールで送られてくる文書は心があり、人と接して話をしているのと同じです。だからこそ、人の気持ちを感じとって対応していくのが大切であり、ごく当たり前でもあるのです。親切にする気持ち、メーリングリストでは特に大事にしてほしいのです。お互い思いやる心をもって接してこそ、心のある会話とふれあいが調和して、実生活で忘れがちな何かを見いだせる機会に巡り会えるかもしれません。

 「なぜ人のために自分が力を貸さなければならないんだ?」。以前、立派な成人が大声で語りかけてきたことがあります。私はさすがに愕然としましたが、心の寂しさも同時に感じました。こんな時代だからこそ、人を思いやる気持ちを少しずつ取り戻していきたいものです。

2001年10月15日発行 第82号


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