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特集:メーリングリストの歴史(1)


 今週から4回にわたって、メーリングリストはいつ頃から始まり、どのように発展してきたかルーツを追ってみます。調査不足で間違いがありましたらご容赦ください。

 第1回は電子メール初期の時代とメーリングリストの原点について取り上げてみます。時は、1970年後半の日本から始まります。

○ 電子メールっていつごろからあったのだろう?

 電子メールはいつ頃から使われるようになったか?これは正確にはわかりませんが、日本でも1970年代にはあったのではないかと思われます。1980年代前半には使われています。
 電子メールとはいっても、今のインターネットメールのような広い利用範囲をもったものは当時ありませんでした。もともとは、大型コンピュータを利用する人が連絡用にメッセージ交換をするために発案されたのが電子メールの起源と言われています。1980年ごろでは、コンピュータと言えば古いアニメで描かれているようなテープがぐるぐる動く機器が並んだ大型の機材で、ごく限られた技術者や研究者が利用しているにすぎませんでした。

 大型コンピュータは共同利用するため、利用者には専用のIDとパスワードが与えられていました。言い換えればプロバイダと契約するのと同じです。大型コンピュータは月に一回程度、定期メンテナンスを行なっており、その連絡に効率的な方法はないかということでIDをもっている人全員に直接メッセージを送る電子メールが考案され、利用されるようになりました。さらに、同じアナウンスのためのメールを最も効率よく送信できないかという発想で生まれたのが、IDリストを作って一斉配送する方法で、これがメーリングリストの始まりではないかといわれています。

 しかし、1980年当時の電子メールは大変不親切なもので、新着メールの通知がされないため、自分でメール閲覧用のコマンドを入力して未読があるかチェックしなければなりませんでした(システムによっては未読メッセージが出たかもしれません)。しかも、肝心の電子メールシステムを知っている人が少なく、利用されていないのも現状でした。メンテナンスのアナウンスも簡易BBS(掲示板)やパスワード入力後に表示されるお知らせに掲示されていたため、利用価値として注目されていませんでした。
 さらに、1980年当時はフロッピーディスクですら画期的で高級品でした(5インチディスク10枚が1万円)。しかも、漢字処理のできる端末も高価で、カタカナでのメッセージのやり取りは実にぎこちないものでした。これも普及に至らなかった理由のひとつだったに違いありません。

 1982年頃に、NECがPC-8001という一般向けパーソナルコンピュータを売り出しました。当時たしか16万円ぐらいでした。念のため、フロッピードライブや漢字処理なんてついていません。Windowsみたいなシステムは論外です。CD-ROMなんて論外です。なにせ、この頃にやっとCDプレーヤーが登場したのですから。

 1980年代中期になると、「コンピュータネットワーク」が注目され、パソコン通信といったネットワークが脚光を浴びるようになってきました。

○ パソコン通信の発達と電子メールの普及

 1980年半ばからパソコン通信が始まり、電子メールや掲示板といったサービスがとても便利で楽しいものであることが理解されるようになってきました。とはいえ、パソコン通信を利用するには設備費用が高いものでした。音響カプラというモデムの先祖みたいなものを利用するか、モデムつき電話(当時6〜8万円したと思います)そして、電電公社(まだNTTではなかった)に電話線の接続プラグの工事をしてもらうなど面倒でもありました。
 しかも、漢字を使えるパソコンの利用者が少なかったため、カタカナでのやりとりなどまだまだ初期の頃は楽しいながら、使いにくい面の多かったものでした。それでも、少しずつパソコン通信のホストは自主的な運営で普及し、「草の根ネットワーク」として成長していきました。そして、商用サービスも登場し、工学社が運営していたTelestarをはじめ、シャープ運営のパソコンネット「サンデーネット」、そして、Biglobeの前身であるPC-VAN(現在のBIGLOBE)やNIF株式会社(現在のアットニフティ)提供のニフティサーブが相次いで登場しました。1980年後半の頃です。

 ところで、メーリングリストはというと・・・それは次回のお楽しみ。次回は、パソコン通信の普及の頃、着々と拡張していたUNIXとインターネットの普及、そしてメーリングリスト管理ソフトの登場について触れてみます。

2000年 6月17日発行 第15号


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